現代人の多くが便秘や下痢などの腸トラブルで悩んでいます。
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便秘改善
日本人女性の約7割が運動不足やダイエットのために便秘がちになり、高齢者の多くが筋力の衰えなどが原因で
便秘に悩んでいるようです。
便秘と下痢は正反対のようですが、どちらも腸の機能不全が原因です。
日常生活、特に食生活を見直して適度な運動を心がけ、腸内環境を良好に保つようにしましょう。
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便秘とは
便秘とは「便秘症」ともいい、機能性便秘と器質性便秘に大別されます。
大まかな定義としては、便が硬くて出にくかったり、3日以上排便がなかったりすることを指しますが、重篤な
病気が潜んでいる場合もあるので、改善されない場合は内科や消化器科を受診しましょう。
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機能性便秘の症状と原因
機能性便秘は特に腸に「目に見える」病気がないのに起こる便秘で、けいれん性便秘、弛緩性便秘、習慣性便秘
の3つに分けられます。
けいれん性便秘とは、精神的なストレスなどで腸管が収縮するため、便がコロコロのウサギの便のような形にな
ります。
弛緩性便秘とは、腸管のぜん動運動が低下して、腸の内容物が直腸まで送られる時間が遅くなります。腹筋力が
弱くなった高齢者などに見られます。
習慣性便秘は便意をもよおしても我慢する癖がある人によく見られ、がまんをくり返しているうちに腸内に便が
たまっていても便意を感じなくなってしまいます。
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器質性便秘の症状と原因
器質性便秘は、大腸に病気があり腸内を内容物がスムーズに通過しなくなります。便に血が混じる(血便)ことや、腹痛などがある場合は大腸炎やポリープ、がんなどの疑いもあるため消化器内科の医師の診察を受けるようにしましょう。
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過敏性腸症候群について
過敏性腸症候群と断定する検査法はなく、X線撮影やCTなどで病気ではないことを確認することが必要です。
(診断は症状などを基準になされます)
働き盛りの男性に多く見られ、ストレスなどから慢性的に便秘や下痢などの症状を繰り返します。
食欲不振や体重減少などの症状はほとんどないことが多いとされます。
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慢性便秘症を改善する方法
自分の便秘が機能性便秘か器質性便秘かを見極め、病気からくる便秘ではないと分かってから、便秘改善のため
生活習慣を見直し、ストレス解消法を見つけるようにしましょう。勝手に「便秘症だから」と民間療法に頼る
と、後で取り返しのつかないことになる場合もあります。
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腸内環境を良好に保つ5つの方法
腹筋運動
運動不足になり腹筋力が低下すると腸を動かす力が弱くなり、便を押し出せなくなってしまいます。特におへそ
の下の腹筋が弱ると便秘になりがちです。
あおむけに寝て両膝を立て腕は頭の後ろで組みゆっくり上体を持ち上げます。
腹筋が苦手な人も2~3回でもよいので毎日続けると、便秘解消効果が期待できます。
睡眠
睡眠不足が続くと自律神経が乱れてしまいます。自律神経が乱れると腸の働きも悪くなり、便秘になりがちで
す。眠れない夜を過ごしても、朝日を浴びると、その日の夜には睡眠を促すホルモンのメラトニンが分泌されて
自然に眠れます。体内リズムを整えて快便を目指すには、就寝時間を気にするよりも、起床時間に焦点を合わせ
て朝日を浴びるようにしましょう。
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食事
お腹が冷えた状態だと便秘になりやすいため、お腹を温める食材を摂るようにしましょう。
にんにく、玉ねぎ、にんじん、唐辛子、ニラ、しょうがなどが「温め食材」です。
また、腸壁に溜まった「毒素」をからめ取る働きがあるとも言われる、モロヘイヤ、長いも、メカブ、モズク、
などのネバネバの食材も便秘を改善します。
便秘や下痢は食べたものによって左右され、甘いものの食べ過ぎは便秘に、アルコールのとり過ぎは下痢になりやすくなります。
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・食物繊維の摂取
食事がファストフード中心になると食物繊維が不足がちになり、便が出にくくなります。
便秘には食物繊維が豊富な海草類、根菜類やキノコ類が効きます。
ワカメや昆布などの水溶性食物繊維とゴボウやカボチャ、キノコなどの不溶性食物繊維を水溶性と不溶性を
1対2の割合で摂取するのが理想的とされます。
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・プロバイオティクスの摂取
プロバイオティクスとは、腸を健康に保ってくれる善玉菌です。
腸内にはビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌と、大腸菌やブドウ球菌などの一部の悪玉菌、そのどちらでもない
日和見菌の3種類がすみついています。
健康な腸とは善玉菌が悪玉菌より多い状態ですが、日和見菌は状況によって善玉にも悪玉にもなるので、いつも
善玉菌を優位にしておくのが好ましいと言えます。
プロバイオティクスを腸に取り込むには、「ビフィズス菌・乳酸菌を含むヨーグルトを食べる」「納豆菌を含む
納豆を食べる」「植物性の乳酸菌を含むキムチ、味噌、漬物を食べる」などが食事のなかで出来る工夫です。
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・水分の摂取
便秘解消にはマグネシウムが効果的ですが、硬水のミネラルウォーターにはマグネシウムやミネラルが多く含ま
れます。硬水が苦手な人は中硬水から試してみましょう。
普段から水を飲み慣れていない人は、朝起きた時と夜寝る前にコップ1杯の水を飲む習慣をつけると便秘解消に効果的です。
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・プチ断食をする
一般的には朝食を抜くと腸の働きが悪くなり便秘がちになるといいますが、3食きちんと食べているのに便秘
傾向なのは、腸が「疲れている」からかも知れません。そんな時は夕食を控えめにして朝と昼は温かいスープ
のみで、その日の夕食はおかゆなどにすると、腸内環境がリセットされて善玉菌が増えるといわれています。
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ストレス
自律神経のバランスが崩れると胃腸の働きが鈍くなったり、逆に過剰になったり、便通に異常をきたします。
年末年始の気を使う食事会や飲み会がストレスとなり、便秘を助長することもあります。暴飲暴食に気をつけましょう。
「腹式呼吸」は腸を刺激するので、ストレスを感じたら行いましょう。やり方は、鼻からゆっくり息を吸ってお腹をふくらませ、口からゆっくり息を吐いてお腹をへこませます。
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便秘薬
これといった重大な病気でもないのにお腹がすっきりしない人には、漢方薬で胃腸環境をよくする方法もあります。
お腹が張って重苦しい場合には、桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)が、過敏性の下痢には、半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)が効果的です。
他にも潤腸湯(ジュンチョウトウ)や大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)などもよく用いられる漢方薬です。
漢方薬は体質(東洋医学で言うところの「証」)によって効果と副作用が異なってくるので、漢方薬局で相談してから飲むとよいでしょう。
また、お腹が重苦しい状態が続く場合は、酸化マグネシウムを用いて大腸を大掃除する方法もあります。
便秘と下痢をくり返したり、ふだんは便秘気味なのに緊張すると下痢をしたり、といった人が増えてきており、便秘体質とか下痢体質と分けることが難しいのが最近の傾向です。
薬を用いる時には薬剤師が常駐している薬局で相談してから購入しましょう。
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入浴で便秘を改善
①ツボ押し入浴
親指と人差し指の骨と骨が交わるところの人差し指側にある合谷(ごうこく)を押すと大腸の働きが活発になります。
また、足の裏の土踏まずの少し上の湧泉(ゆうせん)を押すと自律神経が正常に働きます。
②ドローイン入浴
便秘になる原因の一つに腹筋力の衰えがありますが、お腹をへこませたりふくらませたりすることで筋肉がつきます。湯船の中でおこなうと水圧がかかり普通におこなうより、効果があります。
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寝方で便秘を解消
①うつ伏せ寝
布団に入り10分ほどうつ伏せに寝ると、腸全体に体重がかかって自分の体重で腸をマッサージすることができ、便秘解消効果が得られます。(この方法は妊婦さんにはおすすめできません)
②横向き寝
大腸は「の」の字のような形になっていて、下行結腸、S状結腸は概ね左にあります。
お腹の左側を下にして寝ると、便秘のツボが刺激されます。
③仰向け寝
仰向けに寝転び、両足を伸ばして肩幅程度に足を開き、両手は自然に体の両側に手のひらを上にして置きます。この姿勢のままゆったりとリラックスして気持ちの良い呼吸をくり返します。リラックスできたら、腸の位置を正常にして便通をよくするため、腰の下に薄いクッションかバスタオルをたたんだものを入れます。この方法で寝ると腸の位置が安定し、便秘が解消されます。(効果には個人差があります)
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脳と腸との密接な関係
心配事が続くときや、過労や転勤、旅行などで便秘になったことはありませんか?
面接や試験前にお腹が痛くなり、下痢をした経験はありませんか?
脳と腸は自律神経やホルモンを介してつながっています。
現代社会に多い過敏性腸症候群は、便秘や下痢を慢性的に起こす病気ですが、消化器内科を受診する人の約2割
がこの過敏性腸症候群とも言われています。
脳が不安を感じるとそれが腸に伝わり敏感に反応してしまうわけですが、放っておくと身体症状との悪いサイク
ルをつくってしまい、最終的に鬱症状を引き起こす場合もあります。
それでは、誰にでも起こりうる過敏性腸症候群の予防や改善には、どのような方法があるのでしょうか。
乳酸菌とビフィズス菌の摂取でストレスや不安のレベルが軽減したという研究結果もあることから、食べ物で
腸内環境を整えることは可能とも言えるようです。
・便秘はアンチエイジングの敵
便秘になる原因や症状は人によって違いますが、慢性的な便秘は体や心の老化を早めます。
有害物質が体内をまわることによって肌荒れが起きたり、体が痒くなったりすることがあります。また、体臭や
口臭がきつくなってくることもあります。
便秘で大腸に長時間にわたって便が残っていると、悪玉菌が増えてアンモニアなどの有害物質が発生しますが、
この有害物質が血液中に混ざり皮膚のターンオーバーをさまたげるとも言われています。
その結果、様々なお肌のトラブルが起き、体から嫌な臭いを発生させてしまうのです。
便秘にはたくさんの原因があって、一人一人の体質によって異なるので、現在の生活習慣を見直して便秘の
リスクを減らす努力をすることが、アンチエイジング対策になります。
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まとめ
便秘はしばしばみられる症状ですが、医学的には3日以上便秘が続くと「便秘症」という病気と便宜的に診断
されます。
「たかが便秘、されど便秘」とはよく聞く言葉ですが、中には大きな病気が潜んでいる場合もあるので、気に
なる場合には消化器内科を受診しましょう。
病気からくる便秘ではないとわかれば、便秘改善のため生活習慣を見直したり、ストレス解消法を見つけるなど
して、腸内環境を良好に保つ努力をしましょう。
– – – – – – 監修医師 相澤宏樹