みなさんは認知症と歯周病の関係について聞いたことがありますか?

実は最近になって発見されたのですが、歯周病菌が多くなるとアルツハイマー病(認知症)の原因と考えられるアミロイドベータというたんぱく質の量が増えるという研究報告がありました。

また、マウスを用いた研究では歯周病菌を注入したマウスでは学習能力が低下したというデータもあります。

このページでは歯を大切にする習慣と歯周病菌に対抗する強力なロイテリ菌のはたらきについても紹介したいと思います。

歯周病菌が認知症の発症リスクを高める

歯周病とは?

歯周病は日本人の3人に1人がかかる病気だと言われています。多くの日本人は日常的に歯医者さんに通う習慣がないようで、10年以上歯医者さんに診てもらっていないという人も珍しくありません。

しかも歯磨きを徹底しているという自信のある人も少なく、歯の状態が悪いのに歯医者に行かなかった結果、歯周病にかかって歯を無くしたり、虫歯が悪化して神経を抜いたりした人は多いですよね。

歯の不調というのは、私たち日本人の中では病気とも呼べない軽いものという認識でそれほど重要視されてきませんでした。しかし歯の不調は口の衛生状態が悪いことが原因なので、口とつながっている胃や腸、体全体にも当然悪影響が出ると考えて間違いありません。最近の研究ではようやくこの事実が明らかにされました。

歯周病の原因

口の中は体の中でもトップクラスに細菌が多い場所です。

普段あまり歯磨きをしない人では1000億ほど、歯磨きをあまりしない人では6000億以上もの細菌が生息していると言われています。

歯周病の原因は、この細菌が固まってプラークを形成することです。プラークとは細菌が自分たちを守るために出した成分で固まったものです。歯ブラシで取ることはできず、放置していると細菌たちは安全な状況で歯をどんどん蝕んでいきます。

口に存在する細菌のうち、特に歯周病に関連するものをレッドコンプレックスと呼んでいます。レッドコンプレックスの細菌たちはプラークの形成が強かったり、組織の浸食が激しかったりします。

レッドコンプレックスを抑えるには

レッドコンプレックスが喜ぶのは、口の中の環境が悪いことです。口の環境が悪いということは食べ物のカスが残っていることで、細菌のエサがたくさんある状態です。

レッドコンプレックスは加齢とともに増加することも知られていますが、メカニズムはまだわかっていません。加齢によって唾液由来の免疫力が落ちることも一つの可能性として挙げられますが、とにかく歯磨きをこまめにして口内環境を清潔に保つことが大切です。

歯周病菌がアルツハイマー病に影響するメカニズム

歯周病とアルツハイマー病がどのように関連しているのかいまいちピンとこない方も多いかもしれません。正確に言うと歯周病菌がアルツハイマー病を起こすのではなく、歯周病菌がアルツハイマー病の原因に関わっているということです。

アルツハイマー病の原因はアミロイドベータというたんぱく質だと言われています。研究チームによると、歯周病菌を注入したマウスではアミロイドベータタンパク質が1.4倍も増加していたことが分かりました。

これに対して研究チームは、歯周病菌が出す毒素に対して免疫的に反応し、サイトカインという免疫性物質が増加したことによって副作用的にアミロイドベータが産生されて全体量が増加したと考えています。

したがって歯周病菌の増加はアミロイドベータの増加につながり、アルツハイマー病を引き起こす可能性があるのです。

ロイテリ菌が歯周病菌を減らす

このように歯周病菌は私たちの身近に潜んでいて、将来大きな病気へとつながります。

こんなに怖い歯周病に対して、最近夢のような話が報告されています。

それは、ロイテリ菌という細菌を食べれば口の中がキレイになって歯周病になりにくくなり、結果的に認知症予防につながるというのです。

ロイテリ菌とは?

ロイテリ菌はもともと体内に存在している細菌で、酸性環境に強いので胃酸に堪えて腸まで届くことができます。ロイテリ菌が分泌するロイテリンには口臭の原因菌やピロリ菌を抑制する効果があると言われています。

最近ではロイテリ菌の持つ悪玉菌抑制効果を利用して様々な健康促進の研究がすすめられています。

ロイテリ菌を含む食品

ロイテリ菌は注目が集まっている細菌ですが、一般の認知度はそこまで高くないようです。ロイテリ菌を含む食品も、よく見かけるわけではないですよね。

ロイテリ菌を効率よく摂取するにはヨーグルトが一番効果的です。ロイテリ菌をたくさん含んだヨーグルトは既に商品化されていて、砂糖を使わずにキシリトールという糖類を使っています。キシリトールは歯周病菌が食べると毒素を出せなくする、いわばゴキブリホイホイと同じ役割をする糖類で歯に良いことがわかっています。

ヨーグルトのほかにもサプリメントで摂取する方法もあり、今ではロイテリ菌の新商品が数々開発されています。

しかしロイテリ菌に口内環境を整える効果があるとはいっても完璧ではなく、日ごろの歯磨きを徹底した上での話なので、歯周病にならないための一番の方法は歯磨きだということは間違いありませんのでご注意ください。

– – – – – – 監修医師 相澤宏樹

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