プロバイオティクスとは?

みなさんはプロバイオティクスという単語を聞いたことがありますか?

これは乳酸菌製品などの業界では最も大事なキーワードの一つで、よく聞く乳酸菌もプロバイオティクスです。

プロバイオティクスとは摂取することで体に良い影響をもたらす微生物のことです。今回はプロバイオティクス

の効果と日常での活躍について詳しくみていきましょう。

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【プロバイオティクスとは?】

プロバイオティクスとは、人間の体に良い効果をもたらしてくれる細菌のことです。

細菌には数え切れないほどの種類があり、彼らは外部から栄養を取り込んで様々な物質を外へ出します。

外に出す物質が人間の体に良い物質の細菌をプロバイオティクスという総称で呼んでいます。

プロバイオティクスは一つの細菌をさすわけではなく、たくさんの細菌のグループのことです。このようにプロ

バイオティクスとはたくさんの細菌をまとめて呼んでいるだけなので、プロバイオティクスの中にもたくさんの

働きを持つ細菌がいます。

プロバイオティクスとして有名なのは乳酸菌です。ヨーグルトの宣伝でよく聞く名前ですね。乳酸菌は腸をほど

よく刺激して環境を整えたり、免疫を強くしたりする作用があるので、食事などで積極的に摂るのは良いことだ

と言われています。

世界を見渡してみてもプロバイオティクスの歴史は意外にも浅く、1989年イギリスの微生物学者フラー博士に

よって、「プロバイオティクスとは腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与え

るいきた微生物」であると定義づけられました。

日本での歴史もまだ浅く、厚生労働省では2016年10月の「統合医療」に関する文書でプロバイオティクスにつ

いて言及してある文章が一般向けの最初の情報で、食品扱いでの評価としては2019年3月に言及されたものがま

とまった最初のものではないかと思われます。

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プロバイオティクスがもたらす効果

プロバイオティクスは人間の体に良い効果をもたらす細菌の総称であることは先ほど説明しました。では、一体

彼らはどのような効果を私たちに届けてくれるのでしょうか?

プロバイオティクスは、一般的に腸に対して良い効果のある細菌を指します。乳酸菌やビフィズス菌などが代表

的ですが、腸の状態を整えてくれる細菌です。

2001年の食料農業機関(FAO)および世界保健機関(WHO)の合同専門家会議の報告書の中で「プロバイオ

ティクスは十分な量を投与された際に宿主に健康上の利益を与える生きた微生物群」であることが定義づけられま

した。しかし、この短い定義では概念を説明し尽くしていないのではないかという意見もあります。

プロバイオティクスは歴史が浅く、十分な研究(特にヒトでの研究結果が乏しい傾向にあります)が行われてい

ないため、動物実験などに基づいた研究による予測であるという前提のもと、効果の説明をします。

まずプロバイオティクスで期待されているのは次のような効果です。

・消化管に関連した疾患の改善
・がんの予防効果の可能性
・便秘の予防・解消
・免疫の調節、アレルギー疾患の症状の緩和
・自閉症などの精神疾患への効果

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有名なプロバイオティクスとその活用

プロバイオティクスはちょっと聞きなれない言葉かもしれませんが、実はみなさんも日常的に食べていると思わ

れます。有名なプロバイオティクスはヨーグルトにも多く含まれていますし、そのほかの乳製品や発酵食品にも

入っている細菌です。

まず有名なのは「ラクトバチルス・プランタム」です。これはお漬物に多く含まれている乳酸菌です。ぬか漬け

に含まれている細菌では便秘解消から美肌効果も期待されています。「ラクトバチルス・プランタム」には他に

もたくさんの種類があって、ヨーグルトに含まれている「ラクトバチルス・プランタム」には胃腸機能回復から

感染症に対する免疫の強化も多く期待されていることがあります。

もう一つ有名なのが「ラクトバチルス・ガセリ」です。もしかしたら知っている人がいるかもしれませんね。

よくあるガセリ菌SP株は雪印メグミルク株式会社が培養に成功した(SPの意味はSnow Probioticsで、当時の

雪印社が力をいれて開発した事が伺えます)ガセリ菌です。ガセリ菌はビフィズス菌と同じく腸に多く存在し、

悪玉菌を抑えて腸内環境を整えてくれる善玉菌の代表です。コレステロールを減少させる効果があるという報

告もなされています。

日本ではガセリ菌SP株は多く使われています。ガセリ菌SP株には内臓脂肪を減少させる効果が示されていて、

公的な表示である機能性表示食品のヨーグルトがあります。さらに2018年、内臓脂肪を減少させる効果につい

て特定保健用食品の関与成分に認定されました。これによってガセリ菌SP株は(機能性表示食品より特定保健

用食品の方が認定のハードルは高いといわれています)公的に認められた健康食品成分だと言えます。

プロバイオティクスに関する誤った常識

プロバイオティクスについてよく、「生きたまま腸に届く乳酸菌」というキャッチコピーで売られているのを目

にすることが多いと思います。基本的に食べ物から摂取した細菌は胃酸によってほぼ全滅してしまうのですが、

細菌の中には酸性に強いものだったり、胃を乗り越えるための小さなカプセルに入って腸まで届けられるように

したものだったりなど、乳酸菌業界の研究者があの手この手で工夫を凝らしています。

以前より日本の研究者たちはさまざまな研究を行ってきましたが、この分野は海外の方がリードしていながら

も、日本国内の状況にこだわる傾向にあったとも言われています。(日本人に乳糖不耐が多いなど人種差が考慮

されていた面もあるようです)。日本が新しい研究成果を受け入れるにあたって法整備が必要になったこともあ

るそうです。

食べ物から摂取した細菌が生きたまま腸に届いたとしても腸内で増殖するわけではありません。腸内環境は常に

変化し続けています。常に変化し続ける腸内では、乳酸菌をたくさん摂取しているからといって、腸内に善玉菌

が長時間とどまるというわけにはいきません。

乳酸菌は仮に胃酸によって死んでしまったとしても、菌体を構成していた成分やその破片が腸まで届けば善玉菌

が摂取して活発になることで効果を発揮するということが期待できるといわれています。

ただ、プロバイオティクスのようにその細菌自体が持つ効果に期待する場合は、生きたまま腸に届く方が腸にい

る少しの時間だけでも効果が期待できるのでそのような研究が盛んになっています。プロバイオティクスを生き

た状態で腸に届ける技術はかなり高く、さまざまな方法が実現段階にあります。

当然、腸内ではすぐに環境が変わるので摂取した細菌もいつまでそこにいてくれるかわかりません。食べ物から

摂取して腸内環境を整えたいというのであれば、継続的に善玉菌を摂取し続ける必要があります。
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プロバイオティクスの効果を高める方法

最初に紹介したように、プロバイオティクスは人の体に良い影響を与えてくれる細菌のことです。プロバイオ

ティクス自体が生き物なので、どのように摂取するかによって細菌の元気さも変わってきますし、私たちの吸収

の仕方も変わってきます。では、どのようなことに気をつければ良いのかを確認しましょう。

一番重要なのは、自分と相性の良い細菌を見つけることです。先ほど紹介したように、プロバイオティクスには

たくさんの種類の細菌があります。どのような種類の乳酸菌にしても、細菌である以上は環境との相性(腸管に

発現したIgAが関わっているとも言われています)があり、それが自分の腸内環境とマッチするかは実際に試し

てみるしかありません。1ヶ月くらいその細菌を含む食品を摂取してみて、体調が良くなったかどうかを確認し

てみましょう。特にお通じが良くなり便の質が良くなったなと感じたらそれは乳酸菌の効果だと考えて良いと思

われます。

たまにプロバイオティクスを摂取することで逆にお腹を壊してしまう人がいます。それは、すでに腸内にいる細

菌と摂取したプロバイオティクスの相性が悪かったことが考えられます。腸内細菌は一人一人ちがうといわれて

いるので、人の意見よりも自分がどう感じたかを重視して考えましょう。

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【日常の中で使われるプロバイオティクス】

プロバイオティクスについて調べていると、プロバイオティクスはヨーグルトやサプリメントで摂取できること

がわかると思います。しかし、これらの食品はあくまで健康食品であって医薬品でないことは理解しておくべき

です。もし体調が優れなかったり何かしらの症状が出ていたり、といった場合はこれらの食品に頼るのではな

く、必ず医療機関を受診してください。プロバイオティクスを始め健康食品というのは健康を維持するのを助け

るものであって、一度損なわれた健康を取り戻すものではありません。

健康を維持するためには、まず規則的な食事を心がけましょう。プロバイオティクスは生き物なので、腸に入っ

てくるものによる環境の変化を受けやすいといえます。例えば油っぽいものばかり食べていたり、不規則な食事

をしていたりすると腸の環境が悪くなるほか、胃へのダメージが現れたり、栄養吸収が下がってしまうこともあ

りえます。

このようなことを踏まえて、プロバイオティクスを日常的に使って健康を支えるためには、健康的な食事を心が

け、その上で大豆製品や野菜を摂ること、そしてプロバイオティクスを含む食品を毎日摂取することが大切で

す。善玉菌の腸内での理想の割合は2割だと言われています。いくら体に良いプロバイオティクスでも取り過ぎ

は体に良くないので、必ず食品のパッケージに書かれている注意書きを読みましょう。

プロバイオティクスはサプリメントとヨーグルトで多く発売されていますが、どちらを選ぶのが良いのでしょう

か?

私のおすすめは(乳糖不耐などの原因で食べられない方を除けば)ヨーグルトです。サプリメントは英語で「補

足」という意味があるように、プロバイオティクスに特化した食品です。ヨーグルトに関しては、乳酸菌以外に

も腸管を刺激して免疫を刺激する効果があることがわかっています。プロバイオティクスとしての効果が同じと

仮定した場合、そのほかの効果を考えたるとヨーグルトの方が健康効果は勝ります。ただし、サプリメントの場

合にはプロバイオティクスのみならず、プレバイオティクス(別記)の効果も併せ持つものもありますので、状

況に合わせた摂取が望ましいと考えられます。

プロバイオティクスは新しい分野で詳しいことは明らかになっていませんが、これからとても期待がかかる分野

です。

みなさんもプロバイオティクスをうまく活用して健康な体づくりを頑張りましょう。

– – – – – – 監修医師 相澤宏樹

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