過敏性腸症候群の症状は4タイプ!治すカギは腸内フローラにあり?
1,200万人がかかっていると推定されている過敏性腸症候群(IBS)。突然腹痛に襲われる
といった辛い症状が続くにもかかわらず、重い病気ではないだろうと放置している人も多いのではないでしょうか?
というのも、過敏性腸症候群は真面目でストレスを抱えやすい人ほどかかりやすい病気だといわれているのです。
慢性的にお腹の症状に悩まされている人は、自分が過敏性腸症候群ではないかチェックしてみましょう。この記事では、過敏性腸症候群の症状について詳しく解説します。
この記事の目次
過敏性腸症候群とは、
病院でほかの病気の検査をしても見つからないにもかかわらず、お腹
の症状が長期的に続くときに疑われる病気のことです。英語で「irritable bowel syndrome」
ということから、「IBS」と略されることもあります。
過敏性腸症候群は命にかかわる重い病気ではなく、症状が出てもすぐに病院に駆け込まなければいけないほど辛いものではありません。
そのため、正確な患者の数は分かっていませんが、推定でも国内で1,200万人が過敏性腸症候群の疑いがあるとされています。1,200万人は日本人口の10分の1にあたります。この数字を見ると、身近な病気であることが分かりますね。
若い男女や真面目な人は特に注意
現段階で過敏性腸症候群の原因は明確になっていませんが、ストレスや緊張感、不安などが関係していると考えられています。過敏性腸症候群の症状は、ストレスなどを感じたときに現れやすいためです。
こうしたメカニズムから、過敏性腸症候群は「腸の知覚過敏」ともいわれます。過敏性腸症候群はメンタル面の影響を受けやすいことから、かかりやすい人の傾向も分かっています。
次の傾向に当てはまる人は、過敏性腸症候群に注意が必要です。
・真面目で責任感が強い人
・内気で自分の意見を外に出すのが苦手な人
・気弱ですぐに不安になる人
・緊張しやすい人
・几帳面で神経質な人
・20代くらいの若い男女
・働き盛りの人
過敏性腸症候群の症状4タイプ
過敏性腸症候群の症状はいくつかあり、大きく4つのタイプに分類することができます。それぞれの特徴を紹介しますので、当てはまる症状はないか確認しましょう。
下痢型の症状とかかりやすい人
過敏性腸症候群にかかっている人の約30%が、下痢型に該当するとされています。下痢型
は、突然腹痛が起こって下痢をもよおすという症状が慢性的に起こるのが特徴です。
下痢が出ないときでも、頻繁に腹部の不快感に悩まされることがあります。過敏性腸症候群
の下痢型は、女性よりも男性に多くみられる傾向です。そのほか、次のような傾向もみられ
ます。
・緊張すると腹痛に襲われる
・下痢で1日に何度もトイレに駆け込む
・電車の中などトイレに行けない状況になるほどお腹が痛くなる
・頻繁にお腹がゴロゴロ鳴る
・トイレに行けない状況になると不安でたまらない
便秘型の症状とかかりやすい人
過敏性腸症候群にかかっている人の約24%が、便秘型に該当するとされています。便秘型
は、心身にストレスが溜まったときに便通が悪くなるのが特徴です。
また、下痢型と同じく腹痛に襲われることもたびたびあります。過敏性腸症候群の便秘型は、比較的女性に多くみられます。しかし、最近では徐々に男性の比率も高くなってきているので、男性も油断できません。
次のような傾向がある人は、過敏性腸症候群の便秘型である疑いがあります。
・慢性的な便秘である
・便の量が少なく、しかも固くてウサギのふんのようであることが多い
・排便時にお腹が痛くなることが多い
・緊張感が高まるとトイレに行きたくなる
・排便後も残便感があり、お腹の不快感が改善されない
・腹部のハリやガスだまりが気になる
混合型の症状とかかりやすい人
過敏性腸症候群の症状で、もっとも当てはまる人が多いのは下痢と便秘を繰り返す混合型です。混合型は、全体の約半数に該当するとされています。
混合型は、下痢型と便秘型の症状が両方出るのが特徴です。そのため、男性にも女性にも多
くみられます。
女性にとって便秘は身近な悩みであり、過敏性腸症候群にかかっていなくても起こることが
あります。しかし、通常の便秘であれば下痢も繰り返すことはありません。下痢と便秘の両
方に悩まされている場合は、過敏性腸症候群にかかっているおそれがあります。
過敏性腸症候群には分類不能型もある
まれなケースではありますが、下痢型・便秘型・混合型のいずれにも該当しないけれど過敏
性腸症候群であると診断されることもあります。この場合は、「分類不能型」に分類されます。
過敏性腸症候群の症状4タイプのうちどれに当てはまるかは、便の見た目と排便の頻度によって判断されるため、便の見た目などにそれほど異常は見られないけれどお腹の症状があるといった場合には、分類不能型と診断される場合があります。
過敏性腸症候群の症状は病院じゃないと確定診断できない
下痢や便秘などに悩まされている人の多くは、上記4つの症状のいずれかに思い当たりがあることでしょう。しかし、本当に過敏性腸症候群にかかっているのかどうかというのは病院で検査を受けないと分かりません。
先述の通り、過敏性腸症候群の原因がはっきりしていないため、ほかの病気の可能性を取り
除いて行くことでしか、確定診断ができないのです。
過敏性腸症候群の診断基準とは?
病院で過敏性腸症候群かどうか確かめてもらうためには、下痢や便秘のほかに発熱や身体の異常がないかをまず調べます。これらの体のSOSサインがある場合は、ほかに大きな病気にかかっているおそれがあるためです。
大きな病気のおそれがない場合でも、便検査や血液検査などを受けます。腸以外の病気でも
過敏性腸症候群と似た症状が現れることがあるためです。
これらをすべて調べた上で、「ローマⅢ基準(もしくはローマIV基準)」という国際基準を使って過敏性腸症候群かどうかを判断します。ローマⅢ基準の詳細は次の通り。
・最近3か月のうちに、反復する腹痛や腹部不快感が1か月に3日以上にわたって起こり、下記の3項目のうち2項目以上の特徴を示す。
1)症状が排便によってやわらぐ
2)症状の現れ方によって排便の回数が増えたり減ったりする
3)症状の現れ方によって便の形状(外観)が変わる
また、こうした症状が病院に行く6か月以上前から現れていることも重要な情報源となります。
過敏性腸症候群と似た症状が現れる病気について
過敏性腸症候群と似た症状が現れる病気は次の通り、腸の病気から全身の病気までさまざまです。
・大腸がん
・炎症性腸疾患
・甲状腺機能異常症
・糖尿病性の神経障害
・寄生虫疾患など
中には重い病気もあるので、症状が長引く場合や日に日に悪くなる場合は、医師に相談するようにしましょう。
過敏性腸症候群の症状を和らげるカギは腸内フローラにあり!
過敏性腸症候群の症状は、腸内環境の改善によって軽減される可能性があります。そこで注
目したいのが、腸内環境に深くかかわっている腸内細菌です。
腸内細菌はいくつかのグループに分かれて棲んでおり、これを「腸内フローラ」といいます。この腸内フローラのバランスが良くなると、腸内環境も整うので、過敏性腸症候群の治療
では重要です。
腸内フローラについて詳しく知ろう
腸内フローラとは、善玉菌・悪玉菌・日和見菌によって構成される腸内細菌のグループのことです。別名・腸内細菌叢ともいいます。
「叢」という漢字を見慣れない方も多いことと思いますが、「くさむら」と読みます。腸内細菌がグループをつくって棲んでいる様子が花畑のように見えることから、「叢」という漢字が使われ、「フローラ」と表現されるようになりました。
腸内細菌は、全部で約1000兆個も棲んでいます。
そして、善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバ
ランスが2:1:7になったときが、最も理想的な腸内フローラであるとされています。
日和見菌は善玉と悪玉のうち数が多い方の味方をするので、善玉菌の数が多いと腸内フローラは善玉菌の力が圧倒的に強くなるのです。
しかし、腸内環境が悪化している人は悪玉菌の割合が高くなりがちです。下痢と便秘を繰り
返す人の腸内環境も例外ではありません。だからこそ、過敏性腸症候群の症状を軽減させる
第一歩として、腸内フローラのバランスを整えることが大切なのです。
腸内フローラのバランスを整える食事
腸内フローラのバランスを整えるためには、食生活を見直しましょう。
下痢型の人は、腸を刺激しないよう冷たい飲み物を避けたり、辛い食べ物を避けたりするの
が有効です。一方で便秘型は、水分補給を心がけましょう。
そして下痢と便秘どちらにも有効なのが、食物繊維です。海藻類をはじめとした水溶性食物
繊維は、下痢の水分を吸収し、便秘の方の便を軟らかくする働きがあります。
水に溶けない食物繊維(不溶性食物繊維)も、便秘型にはおすすめです。便のかさ増しをする働きがあるため、排便を助けてくれます。不溶性食物繊維は、玄米や大豆食品などから補うと良いでしょう。
便通がスムーズになると、自然と善玉菌の数も増えて腸内フローラのバランスが整えられます。
第一歩として、腸内フローラのバランスを整えることが大切なのです。
腸内フローラのバランスを整える食事
腸内フローラのバランスを整えるためには、食生活を見直しましょう。
下痢型の人は、腸を刺激しないよう冷たい飲み物を避けたり、辛い食べ物を避けたりするの
が有効です。一方で便秘型は、水分補給を心がけましょう。
そして下痢と便秘どちらにも有効なのが、食物繊維です。海藻類をはじめとした水溶性食物繊維は、下痢の水分を吸収し、便秘の方の便を軟らかくする働きがあります。
水に溶けない食物繊維(不溶性食物繊維)も、便秘型にはおすすめです。便のかさ増しをする働きがあるため、排便を助けてくれます。不溶性食物繊維は、玄米や大豆食品などから補うと良いでしょう。
便通がスムーズになると、自然と善玉菌の数も増えて腸内フローラのバランスが整えられます。
過敏性腸症候群の人が避けるべき食習慣について
過敏性腸症候群の人は、空気をお腹に溜めるような食事は避けるようにしましょう。たとえ
ば炭酸ガスを含む炭酸水や炭酸飲料は、お腹のガスだまりの原因となり、腹痛を悪化させる
おそれがあります。
また、意外にもガムは空気を大量に吸い込みお腹に空気を溜める原因となります。仕事の合
間に噛みたくなる方も多いことと思いますが、別のもので代用するのがおすすめです。
そして早食いも空気を大量に飲み込む原因となるので、食事はゆっくりいただくように意識
しましょう。1口食べるごとに箸を置く習慣を作ると、早食い予防になります。
また、誰かとの会話を楽しみながら食事をするのもおすすめです。食事の時間を通してストレス解消もできるので、一石二鳥となるでしょう。
ストレスを溜めない環境づくりも大切
腸内フローラのバランスを整えるには、ストレスを溜めない環境づくりも大切です。たとえ
ば不規則な生活リズムは、心身にストレスをかけ、やがては悪玉菌を増やす原因となってし
まいます。
責任感が強く、頑張り過ぎな人が多い過敏性腸症候群ですが、症状を和らげるためには徹夜
や夜更かしをやめて、しっかり睡眠と休養をとることが必要です。
このほかストレス解消のために趣味を楽しんだり、体を動かしたりしてリフレッシュする時間を作
ることも心がけましょう。自分に厳しくし過ぎないよう、ストレスを減らす方法を探してみ
てくださいね。