なぜ腸内フローラが注目されるのか
腸内フローラという単語は聞くけれども実際にはどんなものかよくわからない。
こんな人は多いかと思います。
腸内フローラという単語は聞くけれども実際にはどんなものかよくわからない。
こんな人は多いかと思います。
腸内フローラは腸内に棲んでいる腸内細菌を顕微鏡で観察した際にお花畑のようであったことから名付けられま
した。
腸内フローラという菌ではなく腸内の微生物の状態を表すと考えてもよいかもしれません。
この記事の目次
<なぜ腸内フローラが注目されるのか>
腸内フローラが注目されるようになった背景には腸内環境の悪化に伴う症状の増加などがあります。
腸内環境の悪化で最初に思い浮かべるものに「便秘」などがあるかもしれませんが、実際には「下痢」「嘔吐」
「ニキビ」「むくみ」などもこれに伴うことが多いです。
腸内環境の悪化は「消化・吸収・排出」のサイクルを乱してしまうことになり、腸内に老廃物をため込んでしま
うことをはじめ、古い細胞の排出なども阻害してしまいます。
善玉菌、悪玉菌
腸内フローラ以前にわかりやすい腸内環境の言葉として存在するのが「善玉菌、悪玉菌」になります。
善玉菌は腸内環境によく、悪玉菌はよくない。わかりやすい表現であり、腸内環境というものや腸の中をすっき
り綺麗にすることが大事であること、善玉菌を増やすことが大事などわかりやすいイメージをもつことができま
す。
腸内フローラはこの善玉菌、悪玉菌にもう少し踏み込んだものであり、腸内への関心をより深めるための表現と
しても一役買っています。
(腸内細菌をクリアカットに善玉と悪玉に分けることが現実的に難しいという事情もあります)
腸内環境で起きる美容効果
腸内環境の悪化は美容面のマイナスになる。
これは何となく聞いたことがあっても実際にはどのようなものかわからない人も多いかと思います。
ニキビなどは皮脂の過剰分泌や乾燥などが原因であることも多いですが、ニキビをできやすくする条件として
腸内環境の悪化があります。
またむくみなどもニキビと同様に腸内環境の変化で悪化してしまいます。
私たちの体の新しい細胞を作るためには食事などできちんとした栄養が必要です。
しかし、腸内の吸収機能が少ししか動かない状態だと、いくら材料を摂取しても欲しい量の栄養が吸収できませ
ん。
だからといって食事の量を増やしていくことで吸収量を増やそうとすれば今度は過剰な脂肪の摂取などで肥満を
加速させてしまいます。
腸内環境の悪化が美容効果にも健康にも大きなマイナスを作ってしまうのはこれらの理由になります。
腸内環境の悪化による下痢
腸内環境の悪化は下痢を引きおこすこともあります。
下痢は便秘と異なり、水分の再吸収が阻害されて軟便や水の様な便が排出されます。
ですがこの際に一緒に腸壁などを削ってしまい、腸内フローラを乱してしまうだけでなく、腸壁のバリアを壊し
てしまうこともあります。
長期間の下痢が重篤な病状の初期症状になることが多いのもこのためです。
また、腸壁のバリアが壊されることで細菌感染なども起こしやすくなり、感染症は他の疾患の原因にも繋がって
しまいます。
下痢症状自体が体力を大きく消耗することも多く、病状の悪化にも繋がりやすくなります。
便秘も下痢もどちらも腸内環境の悪化で起きるものであり、腸内環境をしっかりと整えることが大事だというこ
とがわかるかと思います。
<腸内環境を整えるには?>
腸内環境、腸内フローラを良い状態にするにはバランスのいい食事と乳酸菌などの摂取になります。
これらは質のいい便を作ることに繋がり、腸内を傷めることなく排出できるものになります。
近年の食事と腸内フローラ
便秘ではないし下痢でもない。それにも関わらず、腸内環境が悪化している人は少なくありません。
これは近年の食事の変化などが関連してきます。
ファストフードの台頭により、食事にファストフードを取り入れる人が多くなり、偏った栄養バランスにより、
腸内環境や腸内フローラの乱れに繋がっている人も少なくありません。
ファストフードでは野菜はあまりメニューにないことや、フライドポテトをはじめとして動物性の脂質の多いメ
ニューが中心です。
脂質は下痢を起こしやすい成分であり、消化と吸収を遅らせてしまいます。
ファストフードをたまに摂取する分にはそこまで大きな問題にはなりませんが、毎日摂取する人などは下痢と便
秘を交互に繰り返したり、慢性的な下痢になったりすることなどはここが原因になります。
下痢が続く人などに多いのもファストフードや肉類中心の食事が多く、栄養も足りなくなってしまうことにもつ
ながってしまいます。
腸内フローラに良い食事とは?
腸内環境を整えるには善玉菌を増やす食事、善玉菌になる食事を考えることが大事になります。
「乳酸菌」「酵母菌」「麹菌」「酢酸菌」「酪酸菌」「納豆菌」などを含んだ食事が腸内フローラにおススメの
ものになります。
乳酸菌と納豆菌はなじみがあるけれども他はあまりないという人が多いかもしれませんが、他の菌なども実際に
はとても身近なものに含まれています。
酵母菌はパンなど、麹菌は御漬け物、お味噌汁、かつおぶしなど、酢酸菌はお酢はもちろんですがビネガードリ
ンクなどにも含まれています。
酪酸菌は糠漬けなどに多く含まれています。
意識してとろうとしてもなかなかイメージが湧かないのも実情だと思います。
これらを効率よくとる食事は旅館の朝食のような、昔ながらの和食のイメージになります。
納豆やお味噌汁、お漬物などはもちろんですが玉子や焼き魚など低カロリーで高たんぱくの食事が旅館などの和
食の朝ごはんになります。
また、朝に食事をしっかりと摂取することでエネルギーの燃焼しやすい体と活動しやすい体を作りやすく、ダイ
エットや筋肉を増やしたい人にもおススメのメニューになります。
菌類の摂取というとイメージはあまりよくない人もいるかもしれませんが、朝食にヨーグルトなどを取り入れる
だけでも腸内環境の改善に繋がります。
サプリメントの利用
乳酸菌などはサプリメントでも販売されており、ヨーグルトなどが苦手な人でも安心して摂取することができま
す。
サプリメントについては、乳酸菌を取り入れるメリットはもちろんですが、ビタミンや食物繊維などを摂ること
ができる、不足しがちな栄養素も一緒にとりいれることもおススメになります。
サプリメントは規定量を飲む
サプリメントなどは多めに飲んでも効果は変わりません。
飲み忘れても問題が起きることはありませんが効果を出したい、継続したい場合は毎日規定量を飲んでいくこと
が大事になります。
サプリメントは便利ですがすべての栄養をカバーできるわけではありません。
通常の食事の中で足りない分を補うことが目的であり、あくまで補助的なものです。
サプリメントを飲んだからと言って翌日にすぐ効果が出るものではなく、腸内環境や腸内フローラのコンディシ
ョンを整えるには最低でも2週間ほど飲むことが目安になります。
サプリメントなどが1か月分での販売になっているのは効果を感じるまでにかかる日数が1か月ほどかかること
がほとんどだから、という事実もあります。
また、腸内環境の状態によって効果を感じるまでに時間がかかる人もいます。
これは最初の1か月で腸内の環境を整えたり不足している細胞の栄養を補給したりすることにサプリメントの成
分が使用され、その後にサプリメント本来の効果が出てくることが多いからだと言われています。
サプリメントの効果が感じにくいなどはこのようなことが多く、1か月、それで効果が感じられない場合には
2ヵ月を1ターンとして考えるのも大事になります。
腸活、菌活
〇活という言葉が一般化し、腸活、菌活という言葉も生まれました。
これは菌類の摂取や、腸内コンディションをしっかり考える意識などを持ちやすくなるのと今まで面倒とされて
いた健康との向き合いなども気軽に取り組めるようになる状態を作ってくれます。
腸活の為に〇〇を飲もう!などとあればわかりやすく、私たち消費者も取り入れやすいものになります。
善玉菌などもそうですが言葉からのプラスイメージは非常に大事なものであり、腸活や腸内フローラから体の事
を考えるきっかけにもなります。
日常生活を見直す
食事はもちろんですが日常生活で出来る腸内環境への活動などもチェックしたい部分になります。
腸は温めることも大事であり、冷たい飲み物が好きな人などの場合は3-4回に1回ほど温かい飲み物にすること
で体温のキープにも繋がります。
体温が低すぎないことは非常に大事であり、冷え性や血行不良を防ぐことにもつながり腸内環境の改善にも繋が
ります。
また、外食などの際にお味噌汁を豚汁などの具が多いものに変えることもおススメです。
根菜類は腸壁を適度に刺激してくれるので排便の促進もできることと、皮膚に必要な栄養なども摂取できます。
豚肉はビタミンなども摂取できることと、お味噌からは豆類の摂取もできるので豚汁は総合栄養食と考えてもい
いでしょう。
一人暮らしなどでおみそ汁などを作ることがない人などでも外食やインスタントの生味噌仕立てのお味噌汁を飲
むことでこの部分はカバーしやすくなります。
また、お味噌汁や豚汁に軽く七味などをいれることでカプサイシンの成分が豆類の吸収を引き上げてくれる効果
が期待できます。
腸内フローラのコンディションを整えるためにお味噌汁は有効なメニューの一つです。
過度のカプサイシンの摂取にならない範囲で七味などは利用していきたいものです。
<まとめ>
腸内フローラの状態悪化は下痢を招きやすくなり、下痢が続くことで腸自体の機能を低下させてしまうことに繋
がります。
牛乳などの乳製品などを摂取した際に軽い下痢を起こすなどの体質の人はチーズや豆乳などを利用したり、サプ
リメントを導入したりすることなどでも腸内フローラの菌を増やすことができます。
また、お漬物などからの菌類の摂取も腸内フローラの正常化に繋がっていくのでおススメになります。
出来ることから取り入れることで無理のない腸活などにも繋がり継続も容易になります。
また、腸のコンディションを整える際に老廃物の排出の際に軽い下痢などを起こす人もいます。
1日2日ならば問題はありませんが、3日以上続く場合は一度専門医にかかることも大事です。
腸内の活性化で下痢ではなくとも日に数回の排便などが起きることもありますが便の状態が下痢ではないならば
問題はあまりありません。
体への負担の無い部分から始めていくことで腸内環境は改善しやすいと考えてもいいでしょう。
– – – – – – 監修医師 相澤宏樹