つらい下痢に苦しむあなたに、下痢の原因と対処法を教えます!

そもそも下痢ってどんな状態?

便は健康のバロメーターと言われるほど、身体の状態を表すものです。腸内のバランスが崩れることで下痢や便秘を起こしますが、特に男性は女性に比べて下痢を起こすことが多く、慢性的な下痢や突然の下痢に悩まされている方も多いと言われています。

下痢を起こすことで脱水傾向になってしまったり、肛門周囲がただれたりといった身体的な影響だけではなく、トイレの不安から外出ができないなど生活の質(QOL)にまで影響を及ぼしてしまう場合もあります。

また、しつこい下痢の裏には何か病気が隠れていることもあり、注意が必要です。

この記事では、下痢が起こるメカニズムや下痢が起こった時の対処法や予防法を詳しく解説します。下痢で困っている方やそのご家族に参考にして頂ければ幸いです。

下痢とは

下痢とは、便に含まれる水分が多すぎる状態のことを言います。しかし、それだけではなく何度も便意をもよおし、排便回数が多くなる状態も伴います。

下痢には様々な種類がありますが、多くは便の中の水分が多すぎたり、便を押し出す力である腸蠕動が強くなりすぎたりすることにより起こります。

便の通り道である大腸は伸ばすと約1.5メートルの長さがあります。通常は、この1.5メートルもの長さの大腸を通過する間に便の水分が吸収され、肛門付近へ到達する頃にはある程度の硬さをもった便になります。しかし、何らかの原因で水分の吸収がうまくいかなかったり、通過が速すぎたりする場合に水分が多い下痢として排泄されてしまいます。

通常、便には75~80%程度の水分が含まれていますが、その水分が80%を超えると固形状の形を保てないと言われています。水分の多い便は、形のない柔らかい便(軟便)や泥状の便として排泄されます。さらに水分量が多い場合は水のような液状の便として排泄される場合もあります。

下痢には4つのタイプがあった

下痢は、起こるメカニズムにより4つのタイプに分けられます。便を見るだけでは自分でタイプを判定することは難しいですが、下痢の前の食生活や他の症状などと総合的に判断することはある程度可能です。また、病院に受診することで原因が特定できる場合もあります。

以下に下痢の4つのタイプについて説明します。

①浸透圧性下痢(しんとうあつせいげり)

浸透圧とは、物質が水分を引き寄せて周囲と同じ濃度になろうとする働きのことを指します。浸透圧性の下痢は、食べた物の浸透圧が強く、腸や便の中に水分を引き寄せてしまうことで起こる下痢です。消化が良くない人工甘味料やサプリメントを食べた時や、牛乳を飲んで下痢が起こる乳糖不耐症もこれが原因です。

②分泌性下痢(ぶんぴつせいげり)

腸の中の水分は、飲食で口にした水分だけではなく、胃や腸などの消化器官から分泌される分泌液(体液)も含まれます。この分泌液の量が増えると、腸内の水分量が増加して下痢を起こす原因になります。

分泌液が増える原因としては、食中毒や感染症、食物アレルギーなどがあげられます。

③蠕動運動性下痢(ぜんどううんどうせいげり)

蠕動運動とは、便を肛門の方へ移動させるための腸の動きのことです。便は水分を少しずつ吸収されながら大腸の中を通過していきます。通常は、緩やかな腸蠕動運動により一定の時間をかけて大腸を通過しますが、過敏性腸症候群や甲状腺機能亢進症などの病気により腸蠕動が活発になりすぎると、便が短時間で腸を通過してしまいます。そのため、水分が十分に吸収されないまま排泄され、水分の多い下痢になります。

④滲出性下痢(しんしゅつせいげり)

便の水分量は、大腸の内側の粘膜により調整されています。その粘膜に炎症が起こる病気として、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患があります。

腸の粘膜が炎症を起こすと、粘膜から血液成分や細胞内の液体などの滲出液が滲みだしてくることにより腸内の水分量が増加します。また、腸粘膜の炎症により水分の吸収もうまくできなくなり、さらに水分量が増加することで下痢を引き起こします。

こんな下痢の場合はすぐに受診

下痢を起こしたとき、すぐに病院を受診するべきか、このまま様子を見てもよいのか、判断に困ることが多いと思います。

ここでは、下痢の際に病院を受診する目安や、受診時に伝えるべきことを解説します。

こんな症状があったらすぐに受診しましょう

下痢は一過性でしばらくすると落ち着く場合もありますので、下痢があるからといってすぐに病院に受診する必要はありません。

しかし中には急いで病院を受診しないと命に関わる場合もあります。

すぐに病院を受診するべき症状を下記にまとめます。

  • 短時間に何度も水のような下痢を繰り返す
  • 吐き気や嘔吐を伴い、水も飲めない
  • 血の混じった下痢や黒い下痢が出る
  • 尿量が少ない、尿が出ない
  • 激しい腹痛や発熱を伴う
  • 症状が悪化している
  • 排便後も腹痛がある
  • 食中毒が疑われる(生ものや山菜・きのこ、同じものを食べた人が同時に発症するなど)
  • 身体が浮腫む
  • 呼吸が乱れる、苦しくなる
  • ウトウトして生あくびが出る
  • 意識がもうろうとする

上記は健康な大人の場合の受診の目安です。子どもや高齢者、心臓病や糖尿病・腎臓病などの基礎疾患を持つ人は急激に重症化する可能性があるため、これよりも早めに受診が必要です。

意識がもうろうとするなど急を要する場合は救急車を要請しましょう。

受診の際に医師に伝えること

病院に受診した時は、医師や看護師に自分自身の状態や症状などの情報を伝えることが必要です。必要な情報を的確に伝えることで、下痢の原因の究明に役立ちます。そして、原因が分かることが対処や治療につながります。

受診の際に伝えるべき内容を以下に記載します。本人がうまく伝えられない場合は家族や状態をよく知る人が付き添い、伝えましょう。

  • 何回下痢があったか
  • いつから下痢が続いているか
  • 下痢の色や性状(水状・泥状・かゆ状など)
  • 下痢に血は混じっていないか
  • 下痢の他に症状はないか(嘔吐・腹痛・発熱など)
  • 水分や食事は摂れるか
  • 飲んでいる薬や持病の有無
  • トイレに行きたくなる状況が決まっているか(電車や試験など)
  • 周りに同じような症状の人はいないか
  • 心当たりのある食べ物はないか
  • 2か月以内の海外渡航歴

※血の混じった便や普段と違う色の便が出た場合、ケータイやスマホで写真を撮っておき、それ病院で見せることで便の性状が伝わりやすくなります。

※海外渡航歴があるなど感染症が疑われる場合は、感染を広げないために病院や保健所に連絡し、指示に従いましょう。

子どもの下痢が続くとき

子どもは、感染症や食べ物の消化不良などで下痢を起こします。幼児以降では心因性の下痢を起こすことも少なくありません。乳児の場合は離乳食などが原因で下痢を起こす場合もあります。乳児はもともと便が緩いため下痢の見分けがつきにくいですが、長期間放置しておくと脱水や感染症の悪化・栄養不良など重篤な状態になることも考えられるので、注意が必要です。

下痢が重症ではなく、元気があり水分が摂れる場合は急いで病院に行く必要はありませんが、以下のような場合はすぐに病院を受診しましょう。

  • 脱水症状がある(皮膚や口の中が渇いている、尿量が少ない、目がくぼんでいる)
  • 元気がなくぐったりしている
  • 顔色や身体の血色が悪い
  • 水分や食事が摂れない
  • 激しい下痢がある(1日に6回以上の大量の水様便が目安です)
  • 嘔吐や発熱(38℃以上)がある
  • 下痢に血が混じっている

年齢・月齢が低いほど重症化しやすいため、早めに受診するようにしましょう。

いつもと違う便が出た時は、そのオムツを病院に持参しましょう。

下痢の原因①:ウイルスや病気

下痢を起こす原因には様々なものがあります。食事や生活習慣など、自分で気を付けて予防できる場合もありますが、多くの場合そうではありません。しかし、異常に早期に気づき、受診することで症状を軽く抑えて、早期に治療を行える場合もあります。

ここでは、下痢の原因となる感染症や病気について説明します。

ウイルス・細菌感染

感染により食中毒や下痢を引き起こすウイルス・細菌はたくさん存在しますが、有名なものとしては、「O-157」や「ノロウイルス」などがあげられます。

これらのウイルス・細菌は、多くの場合食べ物と一緒に口から体内に入ります。そして、胃や腸で増殖し様々な症状を引き起こします。

これらのウイルスや細菌に感染することで、腸管内で毒素が発生したり、粘膜が傷つき、分泌性下痢や滲出性下痢を引き起こしたりします。

多くの場合は数日で治まりますが、身体の状態や細菌・ウイルスの種類によっては重症化して命に関わる場合もあります。症状が重い場合、入院して点滴による治療を受ける必要があります。

大腸がん

大腸は、便の最後の通り道となる消化管です。右下腹部から時計周りにぐるりと大きく伸びている臓器で、中を通過する便の水分を吸収する働きがあるため、肛門に近づくにつれて便は水分の少ない固形状になっていきます。

この大腸にがんが生じる病気を大腸がんといいます。大腸がんの症状としては、血便や便秘がよく知られていますが、実は下痢もよく見られる症状の一つです。大腸がんでは、腫瘤により便通が障害され、便秘と下痢を繰り返すような症状があらわれる場合が比較的多くみられます。また、腸管粘膜が障害されることにより水分の吸収がうまくできず、下痢を引き起こすこともあります。

早期の大腸がんでは他の症状もあらわれにくいため、定期的に検診を受けることや、気になることがあれば早めに受診することが重要です。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは、大腸に何も異常がないにもかかわらず、お腹の調子が悪く、下痢や便秘などの排便の異常が数か月以上続く病気です。女性では便秘傾向に、男性では下痢傾向になりやすいと言われています。

過敏性腸症候群の原因ははっきりと分かっていませんが、ストレスによる刺激で腸が過敏反応を起こしていることが要因であるとされています。近年増加傾向で、全人口の1割以上が過敏性腸症候群であるというデータもあります。

過敏性腸症候群による下痢は蠕動運動性の下痢で、腸の蠕動運動が過度に活発になることにより、お腹がグルグルとするのが特徴です。病院では整腸剤などにより通院での治療が行われます。下痢が長引く場合は一度病院に受診し相談しましょう。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは、大腸の内側の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患で、国が定めた指定難病の一つです。

炎症による滲出性の下痢を起こすだけでなく、腹痛や血便(いちごジャムのような特徴的な粘血便)を伴うことが多いとされます。潰瘍性大腸炎による下痢の場合は、様子をみていても自然治癒は望めず、症状が悪化するおそれがあるため、早期に受診し治療を開始することが大切です。

クローン病

クローン病は、大腸や小腸を中心にすべての消化管に炎症を起こす炎症性腸疾患です。国が定めた指定難病の一つで、近年増加しています。

炎症による滲出性の下痢の他、腹痛・血便・体重減少などが起こります。すべての消化管に炎症をもたらすため、口の中や肛門の周囲にも潰瘍や炎症が起こりやすい病気です。

クローン病による下痢の場合も自然治癒は望めないため、早期に受診し治療を開始する必要があります。

下痢の原因②:生活習慣

下痢の原因は感染症や病気だけではありません。食事やストレスなど普段の生活習慣が下痢の要因になる場合も多くあります。

食べすぎ、飲みすぎ

急性の下痢の場合で最も多いのは食べすぎや飲みすぎによる下痢です。これは、食べ過ぎや飲みすぎの翌日頃に起こりやすく、多量の飲食や味の濃いもの・脂っこいものを食べたことにより腸に負担がかかり浸透圧性の下痢を起こします。

この場合はひどい下痢になることは少なく、発熱や嘔吐は伴いません。通常は1~2日で治まります。

アルコールや刺激物

多量のアルコール摂取や辛いものなどの刺激物を食べた後にも下痢を起こしやすくなります。腸内で刺激物やアルコールを緩和しようと浸透圧の調整を行うため、浸透圧性の下痢を起こします。アルコールや刺激物を食べ慣れていない人の方が下痢を起こしやすいと言われています。

この場合も症状は軽く、すぐに治まる場合がほとんどです。

カラダの冷え

お腹や足が冷えると下痢を起こすことはよく知られていますが、なぜ冷えが下痢を引き起こすのかはあまり知られていません。実際、冷えが下痢を引き起こすメカニズムははっきりと解明されていません。しかし、冷えからの防御反応として身体から水分を排出したり、腸の周囲の筋肉を動かすことにより熱を発生させたりすることで下痢が起こるのではないかと言われています。

冷えによる下痢の場合は、腹巻をする・靴下を履くなど体を温める対処をすることですぐに治まることがほとんどです。

ストレス

ストレスによって起こる下痢のメカニズムは、過敏性腸症候群とほぼ同様です。脳から発生したストレス信号が腸の蠕動運動を活発にさせて、蠕動運動性の下痢を引き起こします。

ストレスによる下痢は一過性のものですが、これを繰り返すと過敏性腸症候群に移行してしまう場合があります。

ストレスは精神的なものだけではなく、身体の負担や寝不足なども含まれます。ストレスによる下痢がある場合には、休息を十分にとり、無理をしすぎないようにしましょう。

急に下痢になったときの対処法

下痢を起こすと、脱水などにより身体全体へ影響を及ぼします。下痢による身体の負担を最小限にするために、適切な対処が必要となります。

ここでは、家庭でできる下痢になった時に対処法を説明します。

水分補給しっかりとする

下痢を起こした時に、最も注意する必要があるのは脱水です。

下痢により過剰に水分が排泄されてしまうため体内の水分量が少なくなりがちです。吐き気や嘔吐がなく、水分が摂れる場合はいつもより多く水分を摂取するようにしましょう。

その際は、下痢により失われた電解質(ナトリウム・カリウム)を補うため、水やお茶だけではなく経口補水液やスポーツドリンクを飲むと効果的です。

子どもや高齢者は特に脱水を起こしやすいので注意が必要です。

吐き気や嘔吐があり自力で水分が摂取できない場合は病院を受診しましょう。

食事は消化の良いものを

腸に負担をかけないため、食事は消化の良いものを心がけましょう。具体的には、おかゆ・よく煮込んだうどん・野菜スープ・すりおろしたリンゴ・脂肪分の少ないアイスクリームなどです。

あまり食欲がない場合は、エネルギーになりやすい炭水化物を摂ることをお勧めします。野菜や果物は食物繊維が多く含まれているので、食べる時はすりおろすなどして消化の良い状態にしてから食べましょう。固い食べ物は消化に時間がかかり、消化不良を起こすおそれがあるため避けましょう。

一気にたくさんの量を食べると腸に負担がかかるため、少量を数回に分けて食べる方がよいでしょう。

避けた方が良い食べ物

腸に負担をかけるため消化の悪い食べ物は避けましょう。具体的には、魚や肉・ラーメン・ケーキ・お菓子などの脂肪分の多いもの、玄米や生野菜・海藻・そばなどの食物繊維の多いものです。

また、コーヒーや炭酸飲料・アルコールは腸への刺激となり、下痢を誘発するので控えるようにしましょう。

下痢止めを使うときは要注意

ドラッグストアなどでは数多くの下痢止めが市販されており、自宅に常備薬として持っている人も少なくありません。

以前は「下痢は薬で止めてはいけない」と言われていた時代もありました。しかし、近年は脱水や体力の消耗を最小限にするために薬を適切に最小限であれば使用しても良いと言われるようになってきています。

市販されている下痢止めにもいくつもの種類があり、ビフィズス菌などの整腸剤、便の中の水分を少なくして便を固める薬、腸蠕動運動を抑える薬など様々で、作用機序も異なります。下痢の性状や身体の具合によっては使用が適切でない場合もあるため、下痢止めを使用するときには説明書きを十分に読み適切に使用する必要があります。それでも不安や疑問が残る場合は医師や薬剤師に相談してから服用するようにしましょう。

また、下痢止めを使用しても症状が治まらない場合や、副作用が現れた場合には病院を受診しましょう。

なかなか治らない場合は医師の診断を

下痢には、一過性ですぐに治まるものもありますが、激しい症状が続きなかなか治まらないものもあります。激しい下痢が長時間続くと脱水を引き起こしたり、体力を消耗したりすることで全身へ影響を及ぼします。場合によっては命に関わるような重篤な病状に移行することもあるので、下痢が続く場合は、できるだけ早めに病院を受診するようにしましょう。子どもや高齢者・基礎疾患のある人は、より病状が重症化しやすいため早めの受診が大切です。

長く続く下痢の対処法

慢性的な下痢の多くはストレスや食習慣などに関与するものです。しかし中には上記であげたような大腸やホルモンの病気が隠れている可能性もあります。

激しい下痢でなくても、長期間続く場合は病院を受診し相談しましょう。

病気以外で起こる下痢を改善するためには、原因となっているストレスや食習慣の改善が必要となります。

ストレスを溜めない

社会で生活していく以上、ストレスを感じないというのは難しいかもしれません。しかし、ストレスを発散して軽くすることは可能です。ストレスを発散できるような趣味や過ごし方を見つけ、無理をしすぎず休息を十分に取るように心がけましょう。

「また下痢をしてしまうかもしれない」といった心理的な負担もストレスのひとつになってしまうため、下痢のことをあまり考えすぎないようにすることも大切です。

生活習慣の改善

刺激の強い食事や脂っこい食事・過度のアルコール摂取は腸への刺激となり下痢を引き起こすため、食習慣を見直し消化の良い食べ物や薄味の食べ物を摂るよう心がけましょう。

睡眠不足や疲労なども身体的なストレスとなり下痢の原因となります。早寝早起きを心がけ、生活リズムを整えることが大切です。

冷えを防ぐために靴下や腹巻を利用したり、冷たいものを飲みすぎたりしないことなども下痢への対処として大切です。

腸内環境を整える

近年の研究では、腸内環境が乱れている人は、腸内環境が整っている人に比べて便秘や下痢を起こしやすいことが分かっています。腸内環境とは、腸の中の腸内細菌(善玉菌・悪玉菌など)のバランスのことで、腸内環境が良いということは、腸内細菌のバランスが整っているということです。

これらの腸内細菌は生活習慣やストレス、加齢により変化しバランスを崩してしまうことがあります。

腸内環境を整えるためには、サプリや健康食品に頼るだけではなく、規則正しい生活習慣と食習慣が重要です。善玉菌は味噌や納豆、ヨーグルトなどの発酵食品からも摂取できるため、これらの食材を食事に取り入れ、腸内環境によい生活を心がけましょう。

下痢にならないために

このように、下痢には様々な原因があり、それぞれの原因により予防法は異なります。

下痢にならないようにするための代表的な予防法を以下にまとめますので、ぜひ生活に取り入れてみてください。

手洗い・うがいを心がける

激しい下痢の症状があらわれる感染性の胃腸炎は、ウイルスや細菌の感染で起こります。空気の乾燥している冬に起こりやすいのが特徴です。これらのウイルスは空気中に漂ったり直接に接触したりすることによって、私たちの手に付着しており、それが口から体内に入ることで感染を起こします。これを防ぐためには手や口に入ったウイルスや菌を洗い流すことが重要です。外出から帰ったとき・トイレやオムツ交換などの後・調理前・食事前は必ず手洗い・うがいをするよう心がけましょう。

また、食べ物の中で菌が繁殖し、それを食べることで起こる食中毒は感染性胃腸炎とは反対に高温多湿になる夏場に起こりやすいのが特徴です。高温多湿の環境では細菌が繁殖しやすく、冬場の何倍ものスピードで細菌が増殖します。夏場は食べ物の保管や管理に十分に注意を払い、腐敗している可能性のある食べ物は食べないようにしましょう。

外食や商店で販売されている肉や魚介類は、生食用の物以外は十分に加熱をしてから食べるようにしましょう。

規則正しい排便のペースを作る

排便のペースは人それぞれです。1日に1回というのがひとつの目安ですが、1日に数回ある場合や2~3日に1回の場合でも定期的に排便があり、それによる不調がなければ問題はありません。

しかし、下痢を起こすとそれに引き続き便秘になったり、さらに下痢を引き起こしたりと排便習慣を乱す原因になってしまいます。

規則正しい排便ペースを身に付けるため、毎日同じ時間帯にトイレに座るなどの習慣が大切になります。

また、食事や睡眠時間も毎日おおよそ同じ時間にすることでさらに排便ペースが整いやすくなります。

できるかぎり規則正しい生活を心がけてみましょう。

腸内環境を日頃から整えておく

「下痢の対処法」の項目で記載したように、腸内環境は下痢や便秘などの排便の異常に直結することが分かっています。下痢の予防のためには、下痢になる前から日常的に腸内環境を整えることが重要です。

腸内環境を整えるためには、腸内環境を乱す生活習慣やストレスの改善が必要となります。規則正しい生活習慣と適度なストレスの発散を心がけることが大切です。

さらに、腸内細菌の中でも腸の働きを整える作用を持つ善玉菌を増やすような習慣が重要です。

善玉菌とは、乳酸菌やビフィズス菌と呼ばれるもので、ヨーグルト・チーズ・納豆・ぬか漬け・キムチなどの発酵食品に含まれています。善玉菌を腸内に定着させるためには毎日継続的に摂取することが大切です。

また、善玉菌が腸内で増殖ためにエサとなる食物繊維やオリゴ糖も一緒に摂取するとより効果的です。食物繊維は野菜や海藻類に多く含まれます。オリゴ糖は大豆・バナナ・ごぼうなどに含まれていますが、少量であるため、特定保健用食品などをうまく利用するのも良いでしょう。

病院に受診した場合も、善玉菌を増やすための整腸剤などが処方される場合があります。

これらの予防法は、一時的に行うだけではあまり効果はみられません。腸内環境を整えるためには日常的に継続して行うことが大切です。

これらの習慣を生活に取り入れ、腸の意識した生活を送ってみてください。

参考文献

  • 「一般社団法人日本臨床内科医会 下痢の正しい対処法」<http://www.japha.jp/doc/byoki/042.pdf>(2019-03-18参照)
  • 「ビオフェルミン製薬 下痢に悩むあなたへ」<https://www.biofermin.co.jp/nyusankin/geri/>(2019-03-18参照)
  • 「順天堂大学医学部付属順天堂医院 看護部 症状別対処法」<https://www.juntendo.ac.jp/hospital/support/kangobu/patient/symptoms/symptoms03.html>(2019-03-18参照)
  • 「ゆたか倶楽部 腸内フローラ」<https://www.d-yutaka.co.jp/blog/health_and_beauty/1710intestinal/>(2019-03-19参照)

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