バセドウ病の症状と治療、予後について
- 腸関連
- 2019.04.15
バセドウ病という病気をきいたことがありますか? 芸能人では絢香さんやX-JAPANのYOSHIKIさんが、罹患したことでも有名です。バセドウ病は甲状腺という臓器の病気で、甲状腺の働きが亢進することで起こる甲状腺機能亢進症の1つです。甲状腺の働きが亢進すると、どのような症状が起きるのか、バセドウ病は治るのか、気になるところです。ここでは、バセドウ病の症状や治療法、予後について解説していきます。
この記事の目次
▼バセドウ病という病気について
まず、バセドウ病のあらましについて見ていきましょう。
病気の概要
バセドウ病は、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが過剰になることで引き起こされる病です。通常甲状腺は、脳の下垂体にあるホルモン中枢から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)により刺激を受け、ホルモン量を調節しながら分泌していますが、バセドウ病では、血液中に甲状腺を刺激する物質(TRAb)が生成され、継続して甲状腺を刺激するため、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうのです。
初期症状
甲状腺ホルモンは、新陳代謝を促進させるホルモンです。そのため、甲状腺ホルモンが過剰になると、常に体を動かしているような状態になり、次のような症状が現れます。
-脈が早まり動悸がする
-疲れやすい
-発汗が増える
-暑がりになる
-手が細かくふるえる
-食欲が亢進し、いつも空腹を感じる
-体重が減る
人によっては、下痢、不整脈、イライラしたり怒りっぽくなったりするなどの精神的な症状も見られます。甲状腺は首の前面に位置しているため、甲状腺が腫れることで首が太く見えることもあります。
さらに10~30%の割合で「甲状腺眼症」という、眼球がとび出して見える症状も現れます。これは、目の後面の脂肪や組織が炎症により腫れて、眼球が前に押し出されることで起こります。まぶたが腫れ、ものが二重に見えるなど、視力障害が起きることもあります。
検査と診断方法
バセドウ病は、次のような検査で診断していきます。
-血液検査
甲状腺の機能を検査するには、血液検査が重要です。甲状腺機能が正常ならば、血液中のホルモン量は一定していますが、バセドウ病では、甲状腺ホルモン(FT₄、FT₃)が高値となり、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)は非常に低値となります。また、甲状腺ホルモンが過剰分泌されている原因の特定のため、抗TSH受容体抗体(TRAb、TBⅡ)、甲状腺刺激抗体(TSAb)をチェックします。これらはバセドウ病以外の甲状腺疾患では陰性、バセドウ病では95%以上で陽性となるため、バセドウ病の診断に欠かせない項目です。
ほかにも、代謝の亢進により血中コレステロールや中性脂肪値が低下し、消化吸収の亢進により血糖値が上昇する現象も見られます。
-超音波検査
甲状腺超音波検査は、安全かつ簡単にバセドウ病を診断できます。甲状腺の大きさ、内部の異常血管の増殖、血流の増加、しこりや腫瘍の有無などを確認していきます。
-アイソトープ検査
微量の放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)を含む薬剤を静脈に注射で入れるか、カプセルで内服し、薬剤が甲状腺にどのくらい取り込まれるかを測定し、甲状腺の機能、大きさ、形などを確認します。
-眼科検査
甲状腺眼症が併発した場合は、眼科専門医の診察を受ける必要があります。コンピュータ断層撮影(CT)や、磁気共鳴画像(MRI)で、眼球後面を撮影し、炎症の有無を確認し診断されます。
▼バセドウ病を誘発する原因
バセドウ病は、甲状腺を刺激する抗体(TRAb、TSAbなど)が生成されることで発症しますが、抗体がつくられる原因としては、次のようなことが挙げられます。
自己免疫疾患である
自己免疫疾患とは、免疫系システムに異常が起き、外部から侵入した異物だけでなく、自分自身の体の組織も攻撃し、自己抗体を作ってしまうことで起こる病気です。自己免疫疾患には、関節リウマチやSLEなどがありますが、バセドウ病もその1つです。
バセドウ病では、甲状腺にある甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体に対し、自己抗体であるTSH受容体抗体(TRAb)が生成されます。TSH受容体は本来、脳下垂体からTSHが分泌されたら、その刺激を受けとる受容体で、刺激に合わせ甲状腺ホルモンを分泌します。しかし、TSH受容体抗体(TRAb)が生成されると、TSH受容体と結合し、常に甲状腺を刺激することになります。そのため、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうのです。
免疫が誤作動を起こすきっかけは不明
自己免疫疾患は、免疫系が誤作動を起こし免疫システムが破綻することで発症します。しかし、誤作動を起こす原因については、いまだ不明です。
複数の要因が絡んでいるとされる
自己免疫疾患は、発症させる引き金となる要因がいくつかあり、それらが複数絡まり引き起こされるのではないかと言われています。考えられる要因は次の通りです。
-遺伝的要因
バセドウ病をはじめとする甲状腺の病気では、家族にも同じ病気にかかる人が多く見られます。バセドウ病自体は、遺伝することはありませんが、遺伝的な素因がある程度影響していると考えられています。
-女性ホルモンとの関連
バセドウ病に限らず、自己免疫疾患は女性に多く、出産後にバセドウ病を発症する人も約5%見られます。また、男性に比べ女性の発症率は5.4倍と高く、特に20~40代の女性にもっとも多く発症していることからも、女性ホルモンとの関連が指摘されています。
-ストレス
バセドウ病に限りませんが、ストレスの多さが発病に関連性があるという報告は多く見られます。例えば、転職、結婚や離婚、子どもの受験や家族の介護、そして身内の不幸など、精神的な大きなショックがきっかけとなることもあります。
-アレルギー疾患
花粉症やアレルギー性鼻炎などは、自己免疫反応で引き起こされますが、この反応はTh2細胞という免疫細胞を介して起こります。バセドウ病もTh2細胞を介し免疫反応が起きた後、TSH受容体抗体が生成されます。このように共通した反応があるため、アレルギー疾患がバセドウ病の発症を誘発したり、すでにバセドウ病に罹患している場合は、症状を悪化させる要因になると言われています。
-喫煙
喫煙や副流煙による受動喫煙は、バセドウ病の発症を誘発することが分かっています。また、治療を開始しても薬の効果が出にくい、さらに甲状腺機能が改善しても、喫煙していると再発しやすくなります。
▼バセドウ病の症状は「代謝が異常に良くなる」
バセドウ病で過剰に分泌される甲状腺ホルモンは、新陳代謝を促進するホルモンです。そのため、バセドウ病では、常に運動しているような状態で、新陳代謝が亢進しています。
代謝が良くなるメカニズム
甲状腺ホルモンは、食事で摂取した栄養をエネルギーに変換し、全身の代謝を高め、つくられたエネルギーで体温を調整しています。また、交感神経を刺激することで、脳の機能の活性化や、心臓や胃腸の働きを高める働きもします。成長期では、骨や体の発育成長を促すために、なくてはならない大切なホルモンです。
このように甲状腺ホルモンは、熱を産生して交感神経を刺激するため、体全体が活性化され、エネルギー消費、すなわち代謝を高める働きをしています。甲状腺ホルモンが多いと代謝が高まり、少ないと代謝が下がることになります。
代謝が良くなることによる具体的な症状
代謝が高まると、どのような症状が現れるでしょうか?
-体温が上がる
-血流の促進
-内臓の働きが高まる
-便通の改善
-エネルギー消費が増え、やせる
これらの症状は、体重が気になりダイエットしたい人には、良いこと満載に見えると思います。
【疑問】代謝が良くなるいいことじゃないの?
代謝が良くなることは、体温が上がり血流も良くなり、便秘も解消、やせやすくなるなど、一見、健康的な現象とも言えます。しかし、甲状腺ホルモンが正常範囲内ならば問題ありませんが、甲状腺ホルモンが過剰になると、代謝が良くなり過ぎる=代謝亢進してしまってこれらの症状程度ではおさまらなくなってしまうのです。これを「甲状腺中毒症」と言い、次のような症状を起こします。
-体温が上がる→ 微熱が続く、発汗が異常に増える、手が汗ばむ
-血流の促進→ 暑がりになる、脈拍数が増える、疲れやすい
-内臓の働きが高まる→ 異常な食欲
-便通の改善→ 下痢が続く
-エネルギー消費が増え、やせる→ 体重が減り続ける
ほかにも、交感神経への刺激が続くことで、動悸、ほてり、手のふるえ、口の渇き、息切れ、皮膚のかゆみ、不眠、イライラ、集中力の低下、脱毛、女性の場合月経異常や無月経になることもあります。バセドウ病は、20~40代の女性に多く、不妊の原因にもなりますし、妊娠中の場合は流早産、妊娠中毒症、出血傾向、胎児の先天奇形、甲状腺腫などを引き起こす可能性もあるのです。
甲状腺ホルモンの過剰により代謝が亢進すると、このような症状が現れるため、代謝の亢進が決して良いことばかりではないとお分かりになったと思います。
▼バセドウ病の悪化と死亡例
甲状腺ホルモンが過剰な状態は、代謝の亢進や交感神経の刺激が続くことにより、さまざまな症状を引き起こします。バセドウ病は、放置して悪化させると心臓に負担がかかり、生命に危険が及ぶことがあります。突然死につながるなど死亡例もある病気のため、早めの治療が大切です。
甲状腺クリーゼでの死亡例
-死亡例
35歳 女性
甲状腺治療薬を自己中断していた患者で、上部消化管穿孔による腹痛で搬送され手術を受けた。手術後に甲状腺クリーゼを発症。眼球突出、発汗が見られ、心房細動と心不全を合併し血圧が著しく低下、循環不全に陥り死亡。死因は、肝臓委縮による肝不全と、甲状腺クリーゼと敗血症による非閉塞性腸間膜虚血症とされている。
甲状腺クリーゼは、甲状腺緊急症とも言われ、生命を脅かす危機的な状態のことです。甲状腺ホルモンが過剰に増加したことで、体の組織にストレスがかかり続け、血液循環や神経系機能が破綻し、多臓器不全、心不全、腎不全、呼吸不全などに陥り、死亡することもあります。致死率は10%以上と高く、毎年約200人が命を落としています。
甲状腺クリーゼは、バセドウ病などで甲状腺機能が亢進している人が、手術を受ける、感染症になる、ストレスを受ける、妊娠する、出産する、などをきっかけとして引き起こされます。症状には、38℃以上の高熱、130回/分以上の早い脈拍、吐き気、腹痛、下痢、興奮状態、意識の混濁、心不全症状などが見られ、適切な処置をしないと心停止を起こし、死に至ります。妊娠中に自己判断で薬を中断した場合や、出産前後で甲状腺ホルモンのコントロールが悪い場合は、クリーゼを発症することがあります。対応を誤ると母体死亡につながり、胎児においても発育遅延、早産、死産の原因になります。
▼合併症での死亡例
-死亡例
40代 男性
喫煙(1日20~40本)者で、甲状腺治療薬の内服が不規則で、甲状腺ホルモン値はコントロールされていなかった。バセドウ病に合併するもっとも危険な不整脈の心室細動を起こし、心肺停止となり死亡。
バセドウ病では、甲状腺ホルモンの働きで交感神経が刺激されるため、特に心臓に負担がかかりやすくなります。そのため、心臓病を合併しやすく、突然死の死亡例もあります。バセドウ病による突然死は、中年の男性に多く、喫煙に加え、治療薬を自己中断したり、しっかり内服していないなど、甲状腺ホルモンのコントロールが悪い場合に起こります。死因の多くは、不整脈による心肺停止です。
また、不整脈から心不全を起こすことも多く見られます。
-心房細動(頻脈性不整脈)
心房細動は不整脈の1つです。不整脈では脈拍のリズムが狂い、不規則で早くなります。これを放置すると心臓の血管に血栓が発生し、それが全身を巡ることで、さまざまな組織の動脈をつまらせていきます。心臓の血管が詰まれば心筋梗塞、脳の血管が詰まれば脳梗塞を発症させ、手足のまひや言語障害を起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。日本では、バセドウ病罹患者の2%前後に不整脈が発生しており、高齢者ほど合併率が高くなります。
-うっ血性心不全
バセドウ病で不整脈が発生した後、放置すると心不全に陥ります。心不全は、心臓の機能が下がり、全身に血液を送れなくなった状態です。そうなると、体内の血液循環が悪くなり、足がむくむ、さらには心臓や肺にも水がたまってしまい、呼吸も苦しくなってきます。進行すると、死に至ります。
代謝が異常に良い状況が心臓に負担をかける
甲状腺ホルモンが過剰になると、代謝が非常に高まるため、常にドキドキと運動している時のように心臓が激しく動いています。それが心臓に負担をかけ続け、前述の心房細動、うっ血性心不全のほか、狭心症、弁膜症なども起きやすくなり、突然死することもまれにあります。特に高齢者では、加齢により心臓機能が低下しているため心不全になりやすく、若い人でもバセドウ病を放置しておくと同様に心臓の合併症を起こしやすくなります。
▼バセドウ病の治療法
バセドウ病は、放置して内服をきちんとしないと症状が進行し、命に関わることもありますが、適切に治療をすれば予後は良好な病気です。治療は、血液中に過剰に分泌された甲状腺ホルモンを正常値に戻すことを目標にしており、主な治療法としては、薬物治療、放射線治療、外科的治療の3つがあります。
薬物治療
バセドウ病の診断を受けたら、まずは甲状腺ホルモンの分泌を抑える抗甲状腺薬を使い、薬物療法をおこないます。抗甲状腺薬には、メルカゾールとチウラジールの2種類があります。抗甲状腺薬は、内服して血液中に吸収された後、甲状腺の細胞内に入り、甲状腺ホルモンを生成する酵素の働きを阻害し、ホルモンの生成を抑えます。
-抗甲状腺薬の服用
通常は、1日3~6錠で内服し始め、血液検査で甲状腺ホルモンの濃度を見ながら、量を減らしていきます。1~3ヶ月内服すると、甲状腺ホルモンは正常範囲に落ち着くことが多く、バセドウ病の症状も改善してきます。内服量は徐々に、1日1~2錠、さらに1日おきに1錠まで減らしていき、この量を維持量として1~2年続けます。そして、甲状腺ホルモンは正常範囲、さらにTSH受容体抗体(TRAb)が陰性になれば、内服の中止を検討します。薬物療法は、薬を中止すると再発することが多く、再発率は70%にも上ります。
-抗甲状腺薬の副作用
抗甲状腺薬には、副作用がいくつかあります。代表的なものは、じんましんや発疹です。重篤な副作用としては、無顆粒球症があります。無顆粒球症は、白血球の1つ顆粒球が減少する症状で、抵抗力が下がり感染しやすい状態になるため大変危険です。発症時期は抗甲状腺薬の内服後2~3ヶ月で、急な発熱や咽頭痛が起こることで気づき、適切に処置をしないと重症化していくため、即刻薬を中断するなどの処置が必要になります。抗甲状腺薬を飲み始めたら、発熱や咽頭痛など感染兆候に気をつけ、異常があったらすぐに病院で白血球検査を受けてください。
-薬物療法のメリットデメリット
薬物療法は、診断を受けたらすぐに治療を開始でき、日常生活にも影響がありません。しかし、副作用のリスクがあり、内服も1~2年と長期間続けなければならないこと、内服を中止すると再発率が高いことなどがデメリットと言えます。
放射線治療
放射線治療は、放射性ヨードを入れたカプセルを1回内服するという簡単な治療法です。内服した放射性ヨードは甲状腺に取り込まれ、そこで放射線の力で甲状腺の組織を小さくし、甲状腺ホルモンの生成を抑制します。アメリカでは簡単、安全、安価という点からバセドウ病治療の第一選択になっていますが、日本では薬物治療でコントロールができない場合や、副作用のため薬が使えない場合におこなわれています。
-放射性ヨードの服用
放射性ヨードの入ったカプセルを内服後、1~2ヶ月で甲状腺は小さくなり、甲状腺機能が正常に向かいます。6ヶ月経過すると、半数の人で効果が見られ、もし効果が不十分ならば6ヶ月以上期間を空ければ、3回くらいはくり返し治療できます。
-放射線治療の副作用
放射線治療では、甲状腺が小さくなり甲状腺ホルモンの生成が減少しバセドウ病は改善しますが、治療終了後、年数が経過すると甲状腺の働きが弱まり、甲状腺機能低下症になる人が増えてきます。こうなると、甲状腺ホルモン薬を内服しなければなりません。しかし、この薬は、体内にある甲状腺ホルモンと同じため、抗甲状腺薬のような副作用はなく、適量ならば安心して使えます。また、甲状腺眼症がある人は、目の突出が悪化することがあるため推奨されておらず、妊娠中や授乳中、妊娠の予定のある人も、赤ちゃんへの影響を避けるため放射線治療はおこなわれていません。
-放射線治療のメリット/デメリット
放射線治療は、甲状腺の組織が小さくなるため確実な効果が得られ、再発の心配はありません。基本的に副作用がなく、手術に比べると体への侵襲も軽く、入院の必要もないため費用も安くできます。しかし、治療がおこなえる病院は限られており、治療の前後にはヨードを含む食品の制限など準備が必要で、甲状腺の状態が悪いと入院が必要になることもあります。また、放射線治療を受けるために抗甲状腺薬を一時中断するため、治療後半年くらいは甲状腺ホルモン値の変動が大きく、バセドウ病の症状が現れることもあります。
外科的治療
外科的治療は、手術により甲状腺組織の多くを取りのぞき、甲状腺ホルモンが過剰に生成されないようにする治療法です。甲状腺の腫れが大きく薬物では治療が難しい場合や、甲状腺腫瘍を合併している場合、抗甲状腺薬の副作用で薬が使えない場合などが適応になります。
-甲状腺摘出手術
手術には、亜全摘出術(甲状腺組織を2g以上残存させる)、準全摘出術(甲状腺組織を1g以下残存させる)、全摘出術(甲状腺組織すべてを取る)があります。以前は、亜全摘術が多くおこなわれましたが、手術後に甲状腺機能が正常に保たれるケースは半数程度で、多くの場合、残した甲状腺が腫大し再発がみられています。そのため、最近は全摘出術、もしくは準全摘出術が多くおこなわれています。入院期間は約1週間です。
-外科的治療の術後合併症
外科的治療では、確実に早く効果が得られる一方、いくつかの合併症の危険もあります。合併症には、甲状腺機能低下症、かすれ声になる反回神経麻痺、カルシウムのバランスが乱れる副甲状腺機能低下症などがあります。
-外科的治療のメリット/デメリット
外科的治療では、全摘出術をすればバセドウ病の再発の心配はありません。しかし、甲状腺がなくなり甲状腺ホルモンが生成されなくなるため、一生涯にわたり甲状腺ホルモン薬を飲む必要があります。また、合併症のリスクがあること、入院が必要で費用は3つの治療法中もっとも高い点などがデメリットと言えるでしょう。
バセドウ病の治療法でどれを選択するかは、症状の程度、本人の年齢、希望(入院はしたくない、経済的負担を少なくしたいなど)などを、主治医とともによく考慮し、決定していきます。
▼まとめ
バセドウ病は、適切に治療をおこなえば恐れる必要はない病気です。しかし、治療をしっかりおこなわないと、心臓への負担が大きくなり命に関わることもあるため、病気に対する自覚がとても大切になります。バセドウ病は女性の発症が多く、中高年で発症した場合は、その症状が更年期障害と類似するため、誤認することも多くあります。異変を感じたら放置せず、必ず病院で診察を受けてください。
– – – – – – 監修医師 相澤宏樹