プレバイオティクスとは?

プレバイオティクスという言葉を聞いたことがありますか?
バイオというからには生物的な何かなのですが、プレバイオティクスというのは生物そのものではありません。
また、プロバイオティクスという言葉との違いもよく誤解を生じているようです。プレバイオティクスとはどんなものなのか、それを日常的に有効活用するにはどのようにすれば良いのかを考えてきましょう。

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プレバイオティクスとは

プレバイオティクスとは、プロバイオティクス、つまり細菌群のエサとなってその活性をあげてくれる食べ物のことです。プロバイオティクスは食べることで人の腸に良い影響を与えてくれる細菌のことでしたね。
代表的な例は乳酸菌です。プレバイオティクスはこのような細菌たちのエサとなって、腸内の善玉菌をより元気にしてくれる食品のことなのです。
プレバイオティクスは細菌のエサとなるだけではなく、プレバイオティクス自身も健康増進効果があります。
プレバイオティクスに関しては、1995年にイギリスの研究者によって定義されました。その定義とは、腸に吸収されないこと、プロバイオティクスの栄養となること、健康増進効果があることです。
ここで重要なのは腸に吸収されないところで、もし腸に吸収されやすい物質だと細菌に届く前に私たちがその栄養を吸収してしまいます。
吸収されにくい物質だと腸の奥まで届きますし、同じような状態を維持したまま腸を通過するので効果も長続きします。細菌の栄養になったり人の体に良い食品になったりするものはたくさんありますが、プレバイオティクスには普通の食品とは違った特徴があります。

プロバイオティクスとプレバイオティクスの違い

プロバイオティクスとプレバイオティクス、2つの言葉は一見すると似ています。同じような言葉なのに、実際の意味は全く異なるのが誤解を生じやすいところです。
プロバイオティクスは乳酸菌に代表される細菌で、いわゆる善玉菌です。善玉菌は人の腸内で20%ほどの割合で生存するのが良いとされていて、ヨーグルトなどの食品によく含まれています。
食べた乳酸菌は腸内で爆発的に増加するわけではなく、あまり定着せずに流れていってしまうので継続的に食べ続けることがより効果を引き出すポイントです。
一方、プレバイオティクスプロバイオティクスのエサとなる食品です。
普通の状態でもプロバイオティクスは人の腸に届いた食べ物をエサとしつつ生きていけるので絶対必要かと言われるとそうでもないのですが、プレバイオティクスは消化されにくいため同じ状態で腸の奥まで届き、さらに確実にプロバイオティクスの活性をあげてくれるというメリットもあるので、プレバイオティクスを摂取すると効果があります。
このようにプレバイオティクスはプロバイオティクスを引き立てるための存在です。ㅤ

プレバイオティクスの効果

では、プレバイオティクスの効果を詳しくみていきましょう。先ほど紹介したように、プレバイオティクスはプロバイオティクスの活性を上げる役割の他にも、自身が持つ健康促進効果に期待ができます。
まず、プレバイオティクス の代表例にオリゴ糖があります。オリゴ糖とはグルコースが3つ以上繋がった大きな糖です。単糖として知られるのはグルコース、それが3つグリコシド結合という特殊な結合によって結合したものです。
グルコースは体にとって良質な栄養分となりますが、オリゴ糖のようにグリコシド結合がたくさんあると人の消化酵素ではそれらを切断できず、消化することができません。したがってオリゴ糖は難消化性です。
しかし、腸内の細菌たちは人間の消化管にない膜構造で糖鎖を取り込むことができるため、オリゴ糖を栄養源にすることができます。このように、人間の栄養には直接ならないけれども細菌にとって栄養になるため、オリゴ糖はプレバイオティクスなのです。
人間にはオリゴ糖を消化することができないと書きましたが、では人間にとってオリゴ糖はいらないのでは? と思われた方もいるかもしれません。実は人間の消化器官ではオリゴ糖を分解することはできないのですが、分解されていないオリゴ糖はそのままの形で健康上の作用を持っています。
オリゴ糖に関して、面白い実験が行われています。ビフィズス菌や大腸菌など、複数の細菌に対してオリゴ糖やフルクトースを与えて培養したところ、オリゴ糖を与えたビフィズス菌のグループの増加量が、そのほかの細菌の増加量の2倍以上も高かったというのです。
この結果から、オリゴ糖はビフィズス菌に焦点を定めて活性化することができるということがわかります。
腸内環境で善玉菌に焦点を当てて活性化したいと考えた時、オリゴ糖はとても優秀なプレバイオティクスなのです。しかしこの時、同じく善玉菌に分類されるバクテロイデス菌は大きく変化しなかったことから、全ての善玉菌に効くというわけではないようです。
また、善玉菌が増えると腸の運動が活発になって通りが良くなり、お通じ改善効果があります。したがって便秘気味の人はプロバイオティクスとプレバイオティクスを摂取して腸内の善玉菌を増やすことで便秘改善が期待できます。
また、腸内の動きが良くなると吸収効率も上がるため、カルシウム吸収が増加して骨密度の補強になったり、免疫を強化したりして健康に役立ちます。腸内細菌と免疫作用はかなり密接に関連していることがすでに明らかになっていて、腸内環境を整えると風邪をひきにくくなるとも言われています。

プレバイオティクスの代表例

プレバイオティクスは腸内の善玉菌のエサとなって善玉菌増殖を促進するだけでなく、プレバイオティクス自身が腸へ働きかけて免疫促進をするという話をここまで紹介しました。
しかしプレバイオティクス、オリゴ糖という名前を出したものの、日常的にどんなところで使われているのか皆さんご存知でしょうか。実際に、一般にはプレバイオティクスと言う言葉の浸透率は低く、善玉菌さえ取れば大丈夫だと言う認識をしている方も少なくないでしょう。
次は日常生活の中でどのような食品を摂ればプレバイオティクスを効率的に摂取できるのか紹介します。
プレバイオティクスはプロバイオティクスと違って、ヨーグルトに多く含まれていると言う単純なものではありません。プレバイオティクス となる食品は数多くあって、実際に自分で成分を調べてみて確認するのが一番です。その中でも特に有名なのは大豆に含まれる大豆オリゴ糖や、イヌリンを含む健康食品です。
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イヌリンは近年注目されているプレバイオティクスで、効果が突出して高いことがわかっています。イヌリンは栄養価が高い上にマグネシウムとカルシウムの吸収効率を上げることがわかっています。ちなみにカルシウムとマグネシウムは1:2で摂取するのが理想的だと言われています。
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イヌリンは機能性表示食品として認定され、腸の動きを活発にし、お通じを改善する効果があることが認められました。ちなみにイヌリンは血糖値抑制効果も知られています。

プレバイオティクスをうまく活用するために

ここまで説明したように、プレバイオティクスは非常に体に良い物質なのですが、プレバイオティクスを摂取する上で必ず注意しなければならないことがあります。
それが、難消化性についてです。冒頭でお示ししたようにプレバイオティクスは難消化性であると言う特性を持ちます。難消化性の物質は人間が持っている酵素や消化液によって分解されないもので、食べてから便として排出されるまで構造が変わらずに通っていきます。
難消化性デキストリンと言うのは少し前に流行った言葉で、難消化性デキストリンを食べると消化吸収されないデキストリンが腸の中のゴミとくっついてそのまま便になって排出してくれるので腸内がキレイになると言うメカニズムです。
これはただの期待ではなく、実際の研究報告で効果が実証されたことから、多くの人が難消化性デキストリンを含む食品を購入するようになったと言う社会現象がありました。
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しかし難消化性と言うのは、消化酵素がいくら消化しようと頑張ってもそれが効かない、つまり体にとっては想定外の混入物なのです。
難消化性物質を多く取りすぎると、胃や腸がプレバイオティクスをなんとか消化しようと頑張りすぎたり、あるいは消化できないものが多くなって逆に腸の通りが悪くなったりしてしまうことがあります。難消化性の食品をとるときは必ず摂取量に気をつけ、食品に表記されている摂取量を守るようにしましょう。
また、善玉菌を増やすとは言っても善玉菌も細菌です。善玉菌の排出するものが全て体に良いわけではないので、善玉菌が増えすぎたことで逆に体調を壊すことも十分にありえます。プレバイオティクスは適切な量を摂取した時が最も高い効果を発揮します。

まとめ

このように、プレバイオティクスはプロバイオティクスのエサとなって善玉菌の活性を上げるほか、自身が腸内で働きかけて健康増進効果を発揮します。
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プレバイオティクスは非常に魅力的な食品ですが、プレバイオティクスに頼らなくても健康的な食生活をしていれば腸内の環境は良くなって、それに伴って善玉菌も増えていきます。
お手軽で簡単と言う言葉に惹かれてしまう向きもあるかもしれませんが、自分で自分の体を管理して腸内環境を良くする努力を忘れないようにしましょう。その上でプレバイオティクスを活用できたなら、きっと腸内環境が良くなって健康を維持することができることでしょう。
もしプレバイオティクスの食品を購入したいと思った方は、ぜひヨーグルトやサプリメントのほかに、いつも食べている食品の中にプレバイオティクスとなるものが含まれていないかチェックしてみてくださいね。

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– – – – – – 監修医師 相澤宏樹

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