バイオジェニックスとは?

みなさんはバイオジェニックスという言葉を聞いたことがありますか?

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バイオテクノロジーという言葉があるように、最近の科学では生物を上手く利用した研究が盛んです。最近ではバイオエネルギーも社会的な話題となり、車のガソリンや電気の発電を微生物の力で行おうとする技術が発展してきました。

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そして、その技術は私たちの健康をサポートする分野でも発達しています。この記事では、バイオジェニックスという新時代の概念について、その特徴と効果、そして私たちの生活にどのような影響を与えるのかをみなさんに紹介します。

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バイオジェニックスとは?

バイオジェニックスとは、東京大学名誉教授の光岡知足先生によって1997年に定義された言葉で、「直接、(あるいは腸内フローラを介して)免疫活性、整腸作用、アンチエイジングなどに効果があるとされる食品成分」です。

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かなり新しい概念なので医学界に浸透しきっていないのが現状かもしれません(健康食品や特定保健用食品などの領域では既に注目を集めています)

プロバイオティクスの代名詞ともいえる乳酸菌や、プレバイオティクスで有名なオリゴ糖とは違って、バイオジェニックスではこれといって一般に有名なものがないかもしれません。

私たちになかなか馴染みのないバイオジェニックスですが、実はバイオジェニックスと同じ物質を私たちの体の中では持っているのです。

バイオジェニックスとして定義される食品成分は先ほど紹介した効果を持つものですが、これらは人の腸内で活動する乳酸菌が作り出している物質です。

腸内細菌は人の腸内で栄養を貰いながら生きている細菌で、分泌する物質には免疫強化や整腸作用があるため善玉菌と呼ばれています。バイオジェニックスとは、その一種である乳酸菌が作ってくれる体に良い物質をサプリメントとして使おうという概念なのです。

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プロバイオティクスとの違い

プロバイオティクスは生きた細菌であることが前提で、腸内フローラを整えることによって体に良い影響を与えようという概念に基づいています。ヨーグルトに含まれるビフィズス菌が有名で、一般への認知度も高いですね。

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昔はヨーグルトなどに乳酸菌を含めても胃酸で全滅してしまっていたのですが、最近では酸性に強いアシドフィルス菌や抗酸性カプセルのような技術が発展して生きた乳酸菌を腸内へ届けることに成功しています。

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しかし食べ物から摂取したプロバイオティクスは腸内で増殖、定着することは難しく、ほとんどは時間が経てば外へ流れて行ってしまいます。したがってプロバイオティクスの効果を最大限引き出すには定期的にプロバイオティクスを含む食品を摂取し続ける必要があります。

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このようにプロバイオティクスでは生きた細菌として定義されていてそれが腸内フローラへ影響するというものですが、バイオジェニックスでは生きた細菌という定義はありません。この部分はまた違う項目で説明しますが、細菌の生死の状態も一つのポイントになるようです。

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プレバイオティクスとの違い

似た言葉で、プレバイオティクスという言葉もありますね。プレバイオティクスとはプロバイオティクスのエサとなる食品成分で、かつプレバイオティクス自身も免疫強化や腸内環境を整える作用があります。

プレバイオティクスとして有名なのはオリゴ糖で、ヨーグルトと一緒に含まれていることがあります。プレバイオティクスの特徴に難消化性というものがあります。

プロバイオティクスのエサとなったり腸内環境を整えたりする食品成分は多くあるのですが、そのほとんどは消化吸収されてしまって腸の奥まで届かないので十分な効果を得られません。対してプレバイオティクスは消化されにくいのでその効果を保って腸管内を進むことができます。

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このようにプレバイオティクスはプロバイオティクスの養分となってプロバイオティクスを活性化するのですが、バイオジェニックスは活性化したプロバイオティクスが分泌する成分のことです。

また、バイオジェニックスは難消化性を持たず、きちんと消化吸収されて人の身体に良い影響をもたらします。

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プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせて利用することをシンバイオティクスといって、お互いの効果を相乗効果的に高める新しい方法ですが、バイオジェニックスはその概念とも異なります。

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生きた菌と死んだ菌の違いは?

バイオジェニックスの定義が生まれる理由として、腸に届くのは生きた細菌が良いのか死んだ細菌でも大丈夫なのかという議論があります。

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プロバイオティクスの定義によると、生きた細菌が腸内できちんと働いているときのみプロバイオティクスとして認められるので、死んだ細菌はプロバイオティクスとして認められません(ただし死菌やその破片が腸内フローラに良い影響を与えるとは考えられています)。

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しかし100年以上前から、死んだ乳酸菌を摂取しても生きた細菌を摂取した時と同様の効果を得られることがわかっていました。菌自体は死んでいてもそれが腸を刺激して免疫作用を高めたり、すでにいる乳酸菌のエサとなって乳酸菌の活動が活発になったりすることで健康的な効果が得られます。

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乳酸飲料の研究員からすると生きた細菌の方が死菌より感覚的に少し効果が高いようですが、今までの研究報告では大差ないということなので、プロバイオティクスでもバイオジェニックスでも言葉に関係なく、乳酸菌が作り出す物質さえあれば健康に対して良い効果が期待できるということを示しているのかもしれません。

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バイオジェニックスの効果

バイオジェニックスにはこれまでのプロバイオティクスやプレバイオティクスのような腸内フローラを介した効果では達成できなかった作用が期待できることが分かりつつあります。

バイオジェニックスでは腸内細菌を刺激することで乳酸菌を活性化させる効果があるのですが、バイオジェニックス自身が乳酸菌生産物質なので、直接腸に作用して免疫刺激、血糖血圧降下、腸内フローラ改善の作用があります。これによって幅の広い効果が期待できるのです。

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バイオジェニックスは乳酸菌が産生する物質を食品に含ませたものなので、腸内環境による吸収効率に相違はあっても乳酸菌からの恩恵を受けることができます。

シンバイオティクスは現在、すでに医療現場でも使われているほど効果が実証されているのですが、今後は患者さんの症状に合わせてバイオジェニックスという選択肢もあるかもしれませんね。また、特定保健用食品の領域への活用が見込まれるところです。

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バイオジェニックスと食品

バイオジェニックスはプロバイオティクスが作り出した物質なので、バイオジェニックスを狙った食品にはプロバイオティクスが多く含まれていることが多いです。

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しかしこれらの食品のメインは細菌ではなく生産物なので、食品中のプロバイオティクスをいきたまま腸に届けようという工夫はあまりされていません。その細菌が生きていても死んでいても、すでに食品中に多く存在しているバイオジェニックスによって十分な効果が得られるためです。

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バイオジェニックスにはプロバイオティクスとしては使いにくい細菌を使うこともあり得ます。細菌にはたくさんの特徴があって、中には加熱殺菌をすることによって免疫力強化の効果がアップするものもあります。

プロバイオティクスとして生きた状態で使うよりも、加熱殺菌してバイオジェニックスにすることでより効果が高くなるのです。さらに、一度殺菌した食品は生きた細菌が入っている食品よりも格段に安定性が高く、消費期限が長く設定できるというメリットもあります。

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バイオジェニックスでは菌が産生する物質に期待したい場合に有効で、必ずしもすべての場合でバイオジェニックスにしてしまえばよいわけではありません。

例えば細菌が抗菌作用によって体内に存在する特定の細菌と闘ってほしいとき、それを殺菌した状態で投与しても戦うことはできません。そのような場合にはバイオジェニックスよりもプロバイオティクス、あるいはシンバイオティクスとして食品を設計した方が効果的と思われます。

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このようにバイオジェニックスとプロバイオティクスは細菌の性質や目的によって使い分けることが大切とも言われています。

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バイオジェニックスが豊富である食品は主にヨーグルトがメインで、プロバイオティクスも含まれています。バイオジェニックスでは細菌が生きているか死んでいるかは関係ないので、プロバイオティクスを生きたまま届けるという工夫はなされていません。

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対してサプリメントのような固形物質ではプロバイオティクスは当然含まれておらず、加熱殺菌したものや乳酸菌産生物質を固めたものがほとんどです。

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どちらでもバイオジェニックスという観点では同じような効果が得られるので、味や食感など自分が続けられると思った商品を探しましょう。

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バイオジェニックスを最大限利用するために

バイオジェニックスは腸内細菌の善玉菌が産生する物質です。腸内環境は食生活だけではなくその日の体調によっても変わるもので、腸内環境が悪いと栄養の吸収効率も変化します。

もし日ごろから暴飲暴食や栄養の偏った食事をしていると腸内環境が荒れてしまってせっかくの栄養も吸収することができません。バイオジェニックスは腸内環境へ作用しますが、最初から物質が固定されているので腸内環境が悪すぎるとせっかく摂った有用な物質も吸収できず、思ったような効果が得られない可能性があります。

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バイオジェニックスはインフルエンザへの耐性が上がるという研究報告もあり、これによって社会的に注目を集めました。インフルエンザは毎年ウイルスの種類が変わって予防接種でさえインフルエンザを防げるわけではありません。それをヨーグルトで対策できるのですから、効果の程度はともあれ可能性を感じます。

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毎日の食生活に上手くバイオジェニックスを取り込むことができれば健康を促進できると考えてよいでしょう。

バイオジェニックスはたしかに便利で健康を支えてくれる物質なのですが、必須のものではありません。

最も大事なことは日ごろから食生活に気を付けて、それを補うためにバイオジェニックスを利用するというような生活を心がけましょう。

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– – – – – – 監修医師 相澤宏樹

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